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相続の基本は“公平・平等・オープン”。物語で学ぶ、母の相続

2023.04.11

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母娘(おやこ)いっしょにもっと元気で、いきいきと 第9回(全11回) これからの日々を心身ともにもっと健やかに過ごすためのさまざまなヒントをお伝えします。たとえば、母と娘がよい関係で年を重ねるコツ、いつまでも美しく若々しくいる秘訣、健康のためにできること──などなど。母、娘どちらの立場のかたにも役に立つ「人生を豊かにするヒント」を一緒に探していきましょう。前回の記事はこちら>>

人生100年時代の遺産相続「母と娘の幸福対策とは」


相続対策とは、本来、遺された家族が安心して人生を楽しむことができるためになされるもの。争うことなく、さらに母と娘の絆は強くなる幸せな相続のヒントを専門家に教えていただきました。

本郷 尚先生
教えていただいた先生は
税理士・税理士法人 タクトコンサルティング 本郷 尚先生


ほんごう・たかし 相続、贈与、事業継承、土地活用、財産管理を中心とした資産税専門の税理士。講演・執筆など幅広く活躍し、また“心”を大切にした新しい考え方の相続対策に力を入れている。独自の視点で描いた著書多数。

「相続の基本は、“公平・平等・オープン”」


母親が全財産を譲り受けるメリットに、子どもに対して立場がよくなるということがあります。以前、母親が全財産を相続した例で、相続後に母親から“お裾分け”として息子と娘の家族に等しく一定の金額を贈与したかたがいました。

その結果、母親は子どもたちが還暦を迎える年になっても余裕がありお小遣いを渡すことができ、毎月、子どもと孫夫婦たちが自宅に感謝の気持ちで遊びに来ているそうです。

相続にしても贈与にしても、心がけたいのは“公平・平等・オープン”であること。特別な事情で、一人の子どもを優遇する場合には公正証書遺言にその理由を明記しておくのも忘れずに。

また、相続できる財産はお金だけではありません。日々お世話になったかたたちへのお礼を欠かさないことで、子どもたちへ人脈という目に見えない財産を遺すこともできるのです。

物語で学ぶ、「母」の相続


陶子さんの場合『家庭画報』2022年4〜5月号掲載

人生100年時代の遺産相続

現金や不動産以外の相続財産が幸せを呼ぶことがあります。裸一貫で起業した夫を支えて生きてきた陶子さんは、まさにその一人。

がんが見つかりホスピスで闘病中の夫を看病している合間に、銀行の貸金庫に友人への貸し付けの担保として預かった宝石の存在を教えられました。夫の死後、貸金庫から自宅に持ち帰り身につけてみると夫のいない寂しさも癒やされ、不思議と心が高揚しました。

陶子さんは「この気持ちを娘や孫たちと分かち合えばもっと素敵だろう」と思いつき、宝石の半分は自分の手もとに残し、残りを夫の四十九日の法要で、それぞれ気に入った品を贈与することにしました。

以来、陶子さんの自宅は長女の発案で、8人の娘と孫たちが譲り受けた宝石を身につけて集まるサロンに。夫の思い出話をしながら、華やかな時間を楽しんでいます。

今から取り組んでおきたい「相続対策」


■公正証書遺言の用意

自筆の遺言は問題が残る可能性もあるため、相続で揉めないために絶対に必要。これにより、相続人による分割協議が不要になり、90パーセント以上の争いごとが避けられる。法律上決められた均分にこだわらず、本人(夫または妻)の意思を明確に伝え、必要があれば付言事項を加えること。

■財産目録の準備

どこに、どれだけの財産があるのかをメモでもよいので書き記し、夫婦間で把握しておくこと。子どもに伝える場合には、預金残高、金融資産は教えないように。大きな金額の増減、子どもへの贈与の事実も記録が必要。

■財産の始末

不要不急の財産は始末すること。特に、現金化しにくい不動産や自社株などは書き出しておき、早めに対策したい。相続時に兄弟姉妹間で共有する必要のある財産を遺さない配慮も忘れずに。
イラスト/神崎 遥 取材・文/小倉理加 ※神崎さんの「崎」は正しくは「大」の部分が「立」です
『家庭画報』2023年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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