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【特別公開】岩﨑夫妻の愛したお雛さま~静嘉堂文庫美術館の人形コレクションから 

2021.02.25

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孝子夫人のお人形愛


市松人形
岩崎夫妻の愛しお雛さま像高54センチ。岩﨑家の熱海別邸で、夫妻の身近に置かれていた。

嵯峨人形 乙御前(おとごぜ)
岩崎夫妻の愛しお雛さま像高77.2センチ。嵯峨人形とは、木彫りの上に胡粉を塗り重ね、彩色がされた人形。なお「乙おと」とはお多福のこと。扇を持つ舞い姿の乙御前が福を運んでくれる。


這子人形
岩崎夫妻の愛しお雛さま全長51センチ。木彫りの人形の、這い這いをする幼子。五世大木平藏の作で、孝子夫人に愛されたもの。着物に施された春駒や鯛車など、玩具の刺繍も見事。

孝子夫人は旧薩摩鹿児島藩主島津氏の分家・島津珍彦(うずひこ)男爵家より、岩﨑家に嫁入りしました。

小彌太氏が亡くなった後、熱海で過ごされた晩年まで身近に置かれていたのが写真の人形たちです。特に大切にされたのが、丸平大木人形店による特製の「這子(はいこ)人形」。後々、この人形は執事夫妻が譲り受けたといわれていますが、今では静嘉堂に戻ってきました。

「この人形は玩具の柄が刺繍され、大切にされてきました」と教えてくださったのは、作り手の丸平大木人形店のご主人・七世大木平藏氏です。「岩﨑様のお宅ではお着替えの品は残っていないようですが、当時、お人形をお持ちのかたはご自分でそのお着物を作るかたも多かったようです」。

一方、ご夫妻に愛されたお福さんは縁結びの神でもあり、お守りだったのでしょう。孝子夫人が愛した人形たちは、現在でも大切に受け継がれています。

岩崎夫妻の愛しお雛さま江戸中期の創業以来、当代で七世になる京人形司・大木平藏。特に五世は歴代で最も多くの人形を残したといわれている。この丸平大木人形店の商標は這子人形の箱に貼られているもの。




「岩﨑家のお雛さま」展ご案内


2022年、静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーが、東京・丸の内の明治生命館1階に移転します。静嘉堂が誇る多くの名品(国宝7件、重要文化財84件ほか)をより多くのかたにご覧いただける注目のスポットになる予定です。
岩崎夫妻の愛しお雛さま
会期:2021年2月20日(土)~3月28日(日)
●静嘉堂文庫美術館
東京都世田谷区岡本2-23-1
TEL:050-5541-8600
開館時間:10時~16時(最終入館) 月曜休館




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撮影/本誌・坂本正行 取材・文/萬 眞智子

『家庭画報』2021年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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