365日美と健康のお悩み相談室 毎日更新の美容&健康のコラム連載。今知りたい気になる話題から、すぐに試せるテクニックなど、美容と健康のプロが皆さんのお悩みに答えます。
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ゲストの回答 【お悩み】家でできる脳を活性化させるトレーニングは?
将来の認知症予防のために、今からできることをしたいです。家でできる効果的なトレーニングを教えてください。
【回答】運動×認知トレーニングの「コグニサイズ」を
運動と同時に“脳”を使うことが、認知症予防に効果があると期待されているといいます。
長年、老年内科で多くの方を診てきた、いのくちファミリークリニック院長・遠藤英俊先生の著書『最新 ボケない!“元気脳”のつくり方』より紹介します。
自宅で手軽に続けられる認知症改善の観点から積極的に取り入れているのが、「コグニサイズ」です。簡単に言うと、“運動×認知トレーニング”の組み合わせです。英語のコグニション(認知)とエクササイズ(運動)を組み合わせた造語で、少し難しい課題を考えながら、同時に有酸素運動を行います。
「コグニサイズ」には、様々なパターンがありますが、最初は足ふみやマルチステップから始めてみましょう。準備体操のように取り入れるのもおすすめです。目安は、10分。自宅で手軽に続けましょう。
認知症改善に大きな効果が「コグニサイズ」は、実際に大きな結果を残しています。2010年、国立長寿医療研究センターの島田裕之氏が発表した研究では、65歳以上の軽度認知障害(MCI)の方100人にこの運動教室に参加してもらったところ、10カ月後には参加者の80%の方に記憶力向上が見られました。
軽度認知障害の方が4年後に46%も改善したという結果もあります。発症を遅らせる効果があるようです。「コグニサイズ」は、室内で手軽にできることもポイントです。
そんな、運動で脳血流を高め、同時に物事を考えることで海馬の働きを活性化する2つの「コグニサイズ」をご紹介しましょう。
コグニサイズ(1)足ふみ
ステップを踏みながら、同時に数を数えてタイミングに合わせて手を叩いていきます。慣れてきたら、ステップを速くしたり、左足からステップを始めるなどして、難易度を上げていきましょう。
1.ステップを踏むその場で歩く、もしくはももを上げてステップを踏みます。数字を1から順に数えていきます。
2.「3」の倍数で手を叩く数を数えながら歩き(もしくはステップを踏み)、「3」の倍数のステップ時には数を言わず、手を叩くようにしましょう。
例えば…「1、2、(3 の代わりにパンと叩く)」というように手を叩き、そのまま「4、5、(6 の代わりにパンと叩く)」ように続けていきます。
コグニサイズ(2)マルチステップ
右足前、左足前、右足横、左足横の順に、ステップを踏み、3 の倍数のときに手を叩いていきます。
1.右足前、左足前の順に前に出す2.足を前や横に動かす続いて右足横、左足横で足を出し、再び右足前、左足前、右足横、左足横と続ける。
3.「3」の倍数になったら手を叩くこのステップを繰り返しながら、3 の倍数になったら手を叩く。3、6、9、12…と手は3の倍数で叩き、足は右足、左足と交互にステップを踏んでいく。
遠藤英俊/Hidetoshi Endo
1982年滋賀医科大学卒業、87年名古屋大学大学院医学研究科修了。国立長寿医療研究センターなどで内科医および老年科医として長年研鑽を積み、 2021年より、いのくちファミリークリニック院長。 日本認知症学会理事。認知症の専門医として、認知症の予防プログラムや介護プログラム、認知症サポート医への教育、啓蒙活動などに取り組む。
イラスト/umao 渡辺裕子 編集協力/山岸美夕紀
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