――今回の舞台の演出家は、すでに何度も演出を受けている小川絵梨子さんなので、その点は安心ですね。そもそもの出会いはいつ頃なのですか?「ミュージカル以外の芝居をもっとやりたいと思って、僕が劇団四季をやめた後です。同じタイミングで退団した仲間と劇団をつくったんですが、演出家を立てなかったもんだから、みんな自分のやりたいように芝居をして、喧嘩ばっかりで。それで、自分たちがやりたい演劇というものをディープに知っている演出家のワークショップに、一度ちゃんと行ってみようということで参加したのが、絵梨ちゃんのワークショップでした。僕がやりたいと思っていたことを、いろいろなやり方を提示しながら具現化してくれた彼女は、僕の演劇観をすべて変えてくれたといってもいいくらいの存在です」
――絵梨子さんが演出するストッパード作品、2人の劇評家が推理劇を観ている劇場を舞台に、劇中劇を巧みに使ってシュールに展開していく戯曲だけに楽しみですね。「劇場で芝居を観ている人物を、劇場で観るという構造が、まず面白いですよね。まるで合わせ鏡のように、観ている人自身を舞台上に映し出すような作品になるんじゃないかと思っています。僕が演じる、ふてぶてしく生きてきた劇評家と、生田さんが演じる、自分のやりたいことを貫けないことに悩んでいる二番手の劇評家も、実は世の中の人を大きく二分して表したアイコンじゃないかなと。まあ、稽古が進むなかで、やっぱり違ってた!ってことになる可能性もあるんですけど(笑)」
専門学校での転機は、元劇団四季の先生の授業でミュージカル映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』を観たこと。「雷に打たれたように、やりたい!と思って」劇団四季入団を目指すようになった。