「2人で滑っているのに一つの体に見えたときは本当に嬉しかった!」
(2020年10月に行ったインタビュー、本誌未掲載部分から一部抜粋)
――髙橋選手にお伺いします。20年2月からアメリカで練習を積んできたわけですが、アイスダンスの感想をお聞かせください。髙橋選手(以下D): シングルとこんなにも違うのかというのが率直な感想です(苦笑)。まだ戸惑いがありますが。ステップ一つとっても、ディープに傾ければいいというわけではなく。氷を飛ばさないように、音を立てないように、エッジだけでなく体の傾斜も意識してとか、本当に細かくあるんですよね。
リンク上でも、真ん中からはみ出てはダメ、ビートに合わせなければならない、音から外れてはならない、リフトの秒数もカウントしなければいけないとか、考えなければならないことが多過ぎて頭がいっぱいいっぱいです。
2人でいかに綺麗に見えるかが大切なので、ポジショニングも難しいんですよね。最初は近くで滑るのが怖くて、マリーナ・ズエワコーチに「もっと近く、近く!」と言われて。一生分言われてました(苦笑)。
この頃、ようやく慣れてきましたが。あと、少し気を抜くとシングル時代の癖が出ているらしいんですよね。脚を蹴る時の伸ばし方とか。シングルなら普通に綺麗とされているレベルなのですが、マリーナに「もっと伸ばして!」と言われます。
同じフィギュアスケートなんだから、と思っていましたが、見て想像していたより100倍大変です(苦笑)。
渡米して間もない2020年2月の練習風景。マリーナ・ズエワコーチからのアドバイスを真剣な表情で聞く村元選手と髙橋選手。「もっと近くに!」と一生分言われていたのはこのころでしょうか……。写真/USM写真/USM