尿漏れの経験があれば受診より先に骨盤底筋のトレーニングを
デリケートゾーンのトラブルに対応してくれるのは産婦人科または女性泌尿器科です。
「たとえば骨盤臓器脱では夜、お風呂に入って陰部を洗っているとピンポン玉のようなツルッとしたものに触れるという自覚症状を訴える人が多いです。このような場合は受診の対象になります」。
尿漏れや便漏れは日常生活に大きな支障をきたすようになって初めて受診したという人も多いそうですが、そのときには骨盤底筋が衰えていて保存的治療では十分に改善しないこともあります。
「尿漏れなどでヒヤッとした経験が一度でもあれば、受診よりも先に骨盤底筋のトレーニングを始めましょう。また、電車で座っているときに膝が開く、お風呂から上がった後、腟からお湯が出てくるといった状態は骨盤底筋がゆるみ始めているサインです。こうした症状やサインがある人はもちろんのこと、閉経を迎えた人は骨盤底筋のゆるみにおいて全員ハイリスクであるといっていいでしょう。70代になったときにデリケートゾーンのトラブルを起こさないよう40~60代の今から骨盤底筋を鍛えていくことを強くおすすめします」と高尾先生はアドバイスします。
次回は骨盤底筋の鍛え方をご紹介します(3/5公開予定)。
〔解説してくださったかた〕高尾美穂(たかお・みほ)先生イーク表参道 副院長
医学博士・産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了。女性の健康で幸せな人生と前向きな選択を後押しすることがライフワーク。著書に骨盤底筋の効果的なトレーニング法を紹介した『超かんたんヨガで若返りが止まらない!』(世界文化社)がある。 取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2021年3月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。