ミュージカルの極意“音楽を通して物語を味わう”
©ホアシムネヒロ本作は第二次世界大戦下で起きた出来事をテーマにしています。より理解していただけるようにと、当時の時代背景とあらすじについて漫画などで伝える試みもしていますが、エンターテインメント性が高く、前知識がなくても楽しめる作品です。僕自身も最初に観たときには音楽はもちろん、ダンスシーンなどに見応えがあり、最後には胸を打たれました。
僕が演じるサミーは、登場人物の中では最もアメリカ人らしいアメリカ人。自分たち日系人を守り、その地位を高めて信頼を獲得するには、アメリカに従軍するべきだという考えの持ち主です。一方で、濱田めぐみさんが演じるサミーの姉、ケイはアメリカと日本との中立的な考え方をしていたので、共感できるところはありました。
芝居の中では日本語が母国語である日系人一世と、英語で育っているけれども日本語にもなじみのある二世との言語の壁が描かれています。英語で演じられていたことを日本語でどう演じるかは難しいチャレンジですが、それを丁寧に作っていかなければなりません。
サミーが物語の序盤で歌う「What Makes A Man(男は)」という曲は彼の決意を歌ったいい曲ですし、子どもの頃を思いながらケイが歌う「Higher(もっと高く)」という曲はとても美しいです。こうした楽曲は作品の代表曲というより、キャラクターや物語を伝える語りとしての音楽なので、物語の中で味わっていただきたいです。それがこのミュージカルの醍醐味ともいえます。
海宝直人(かいほう・なおと)
1988年、千葉県出身。95年に7歳で劇団四季『美女と野獣』のオーディションに合格し、チップ役で舞台デビュー。近年は『レ・ミゼラブル』のマリウス役や劇団四季『ライオンキング』のシンバ役などで活躍。2020年には舞台芸能活動を記念したニューアルバム『Break a Leg!』を発売。
『Break a Leg!』ミュージカル『アリージャンス〜忠誠〜』
真珠湾攻撃が発端となり日本との戦争が始まったアメリカで、日系人であることを理由に強制収容所に送られた家族の実話を元にした物語。2015年にブロードウェイで初演された際には作品のモデルとなったジョージ・タケイ氏が出演。
オリジナル・キャストには『ミス・サイゴン』でトニー賞を受賞したレア・サロンガ、ミュージカル『アラジン』のアラジン役で人気を博したテリー・リアンなどの錚々たる俳優が出演した。今回の日本キャストによる初演では濱田めぐみと海宝直人が日系人の姉弟役を演じる。
東京国際フォーラムホールC2021年3月12日~28日
S席1万3500円ほか
ホリプロチケットセンター:03(3490)4949
公式URL:
https://horipro-stage.jp/stage/allegiance2021/※名古屋、大阪公演あり
※この情報は、掲載号の発売当時のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。 表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/山下シオン
『家庭画報』2021年4月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。