日日是“笑”日(にちにちこれしょうじつ) 女優の柴田理恵さんが綴るきもの日記。きもののリメイク術から、愛犬との心温まる暮らし、得意の料理など、笑顔あふれる日常をお送りします。
前回の記事はこちら>> 弥生〜ロケの合間に、花より団子!
待ちかねていた桜の便りが届く頃。浮き立つ気持ちに、思わずスキップしたくなる毎日です!
スプリングコート代わりに着ているのは、紬地の道行。節糸の質感やシックな墨色、しわになりにくい点も気に入って、背縫い部分を補強したり袖のシルエットをリメイクしたりして普段着として愛用しています。
さて、今回は3月1日発売の
『きものSalon』2021春夏号に掲載された“桜日和のコーディネート”にフォーカス。誌面には掲載されていないディテールや、ロケの合間の食いしん坊エピソードをお届けします。
ディテールにも桜の物語を込めて
こちらが誌面で紹介された、「お花見散歩」コーディネート。桜の花の淡いピンク色を遮らないように選んだ一枚は、遠目には無地のように見えますが、実はやわらかなベージュに小格子の絣を織りだした大島紬です。
「萬田久子風、羽田美智子風」と、誌面では使われないと知りながらも、つい余興のポージング。この紬の見せ所は、袖口や八掛に効かせた鮮やかな山吹色! 普通なら表地より少し濃い色の裏地を合わせるかもしれませんが「遊び心を効かせてこそ紬の醍醐味!」とばかりに、鮮やかな山吹色をセレクト。このパキッとしたコントラストがたまらなく気に入っています。桜の季節なら、花のめしべをイメージさせる小粋なアクセントとなります。
帯は好みの青緑系に染めた縫い締め絞りの名古屋帯。桜の葉の気配を感じさせる色合わせになりました。光の加減で濃淡に映り、単色なのにとても表情が豊かなんです。
半衿は、桜に流水の刺繍のものを。その流水とつながるように、鱗文様の帯留めを合わせました。縫い締め絞りの表情が水面のようにも見えて、川辺の桜並木を彷彿させます……。こんなふうにコーディネートから物語が生まれることも、きものならではの楽しみですよね。