食べられる量が減ってきた、胃がもたれるなどの症状が最近気になりませんか。胃を健やかに保つコツ、胃の病気について、胃内視鏡専門医の河合 隆先生に伺います。
〔解説してくださるかた〕河合 隆(かわい・たかし)先生東京医科大学 主任教授 同病院内視鏡センター 部長 健診予防医学センター 部長。1984年東京医科大学卒業。88年同大学大学院修了。医学博士。2003年の内視鏡センター創設以来、部長を務める。05年同大学助教授、16年から主任教授。専門は上部・下部消化管疾患、ヘリコバクター・ピロリ、食道がん・胃がん。20年の第100回日本消化器内視鏡学会総会会長など要職を歴任。胃は病気がなければ年をとっても衰えにくい
河合先生によると、胃は加齢によって位置が少し下がって、いわゆる胃下垂気味になっていくものの、「慢性胃炎や胃がんのような病気がなければ、胃の機能自体はあまり落ちません」とのことです。
「食べられなくなると死につながるため、消化管は全体的に衰えにくいようにできているのでは」というのが消化管の内視鏡専門医として多くの人の胃腸をみてきての実感だそうです。
ただし、若いときと比べると活動に必要なエネルギー量は減り、活動自体も少なくなることもあって、食べる量は自然に減少していきます。
また、食道から来る飲食物の入り口となる胃の噴門が緩み、ゲップや胃酸の逆流などが起こりやすくなります。それによって食道に慢性的な炎症が生じ、胸やけの症状が出てくることがあります。
50代以上の人では、ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)の感染による胃・十二指腸潰瘍、そして、胃がんのリスクが上がります。
自分や家族のことでの心身のストレスも増えていく中高年は、やはり加齢に応じて、胃の健康を守るための対策が大切になっていきます。