『だいちょうことばめぐり』
朝吹真理子(あさぶき・まりこ)著/河出書房新社タウン誌『銀座百点』での連載をまとめた朝吹真理子さんの随筆集。
江戸時代を勉強したいと思い、当時の人の感覚に近づこうと、部屋を畳に替えてろうそくで本を読み、着物で学校に通った大学入学後のこと。
公開処刑は庶民のうさばらしと、さらりと書いて言及する浄瑠璃や歌舞伎の戯曲になった石川五右衛門の釜煎り(茹で)の話、愛情を注がれて育ったことが手に取るようにわかる家族について......。
ふと頭をよぎった出来事が、記憶や時間の層のなかから緩やかに引き出される──そんな余韻を残す文章と、花代さんの写真の美しさが呼応する一冊。
「#今月の本」の記事をもっと見る>> 『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。