デビュー30周年。挑戦を続けるピアニスト・横山幸雄さんの“入魂のショパン”

デビュー30周年の想い

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1990年ショパン国際ピアノコンクールで第3位に入賞し、翌年のデビュー以降、多くのことに挑んできた横山幸雄。


ワインに精通し、30代半ばでレストランを開店。40代に入ると、ショパンの全ピアノ曲を1日で弾いてギネス世界記録に認定され、さらに2020年、ベートーヴェンの32曲のソナタを2日で弾いた。並外れたバイタリティに驚くが、当人は飄々としている。

「全曲演奏会は珍しいアプローチでしょう。でもこの経験で表現に確信が増し、今やショパンの曲は自分の作品と思えるほど。もともと周りにいわれて何かすることはなく、やりたいからやる性格。子どもの頃から変わりません」

デビュー30周年、50歳を迎えた今、音楽家として何を思うのだろう。

「情報があふれる今、人はわかりやすいものに流れがち。その意味でクラシックは時代に逆行する部分もあるかもしれませんが、もし失われたら、世の中がより軽薄なほうに向かってしまう。何ができるか、常に考えています」

演奏付き食事会や、大人向けにアドバイスをするピアノ会を始めたのも「ホールに足を運ぶ人が増えるのを願って」のこと。毎年5月恒例の『入魂のショパン』は12回目。ホールで名手の音を浴びる時間は、格別だ。