延々と続く竹切り合戦は、一年間つづき、どうしても人力ではかなわないところまでたどりついた。
その難関とは、根の駆除。竹の場合は、地表から30〜40cm地中に根が横ばいにはっている。それらをすべてすくい取らねば、駆逐したことにならないのだ。それからは、大型ユンボの出番となったが、機械の力を借りてもなお格闘はさらに半年つづくことになった。
竹は、とても美しい植物だ。しかし、人間の目が届かなくなると、猛威をふるう。汗だくの取っ組み合いをやったおかげで、今まで以上に、竹に愛着が湧いてきた。(「今森光彦 環境農家への道 第5回」に続く。4月3日更新予定。)
竹切りは、色々な人に手伝ってもらった。大学の授業でもフィールドワークとして竹切り実習をした。若い人には、できるだけ里山の実態を知り、体感してほしいと思う。まるで、レンコンのような地下茎。これが、網の目のように地下に張り巡らされていた。竹は、油断すると人間がかなう相手ではなくなる。 大型ユンボで地中にはびこる竹の根を取りさる。剝ぎとった竹の根は、相当な量になった。その様子を高画質ハイビジョンでも撮影。 今森光彦/Mitsuhiko Imamori
写真家。切り紙作家。
1954年滋賀県生まれ。第20回木村伊兵衛写真賞、第28回土門拳賞などを受賞。著書に『今森光彦の心地いい里山暮らし12か月』(世界文化社)、『今森光彦ペーパーカットアート おとなの切り紙』(山と溪谷社)ほか。