世界のトレンドを意識しながら、夫婦で集めた現代アートと暮らす
ー桶田俊二さん・聖子さん(港区)
世界的な評価を得た巨匠(ビッグスリー)の作品揃い踏みの桶田邸玄関:玄関でまず迎えてくれるのは、現代アートの代表作3点。李朝の白磁丸壺に大船簞笥と、時代を超えて調和している。草間彌生(1929-)
Yayoi Kusama(1929-) 南瓜 15.8×22.7cm キャンバスにアクリル「当たり前にある南瓜に、これほどの存在感があることに感動を覚えます」と桶田俊二さん。
奈良美智(1959-)
Yoshitomo Nara(1959-) Study-2 65.8×53.2cm キャンバスに墨、アクリル所有している李朝白磁の壺に、絵に描かれたつり目の女の子の雰囲気や色が合うと思って購入。
村上 隆(1962-)
Takashi Murakami(1962-) Mr. DOB Comes to Play His Flute 100×100cm
キャンバスにアクリル、アルミフレームにマウント ©2013 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.All Rights Reserved. Courtesy Perrotinご本人に会って最初に購入した作品。代表的な“フラワー”とは異なる魅力を感じるそう。
「アート作品には買ってみないとわからない魅力があります」ー桶田夫妻
国内屈指の現代美術コレクターとして知られる桶田俊二さんと聖子さんご夫妻。ご自宅には、世界中から集めた名品が並びます。ユニークなのは、朝鮮や中国、日本の骨董品と美しく調和していること。
「アート収集の入り口は骨董美術だったんです。現代アートでは、草間彌生さんの絵画が最初でした。制作ドキュメンタリーに感動し国内外のギャラリーを訪ね歩いた末に、代表作の『無限の網』の実物を目にし、繊細さと力強さに吸い込まれそうになり手に入れる決心をしました」と俊二さん。
そこを出発点にわずか10年で、海外の有名作家から日本の巨匠までを揃える、現代アートの地図を俯瞰できるようなコレクションに成長させました。購入地は海外が中心で、各国のアートフェアやギャラリー、オークションをまめに巡って手に入れてきたそうです。
「そうやって巡り合って、気に入った作品が自分の手元に届いたときは本当に嬉しいもの。工夫して自宅に飾り、好きなものに囲まれて毎日過ごしていると幸せな気持ちになります」と聖子さんは語ります。
続けて俊二さんは、「気に入った作品を自分のそばに置いて何度も見ることが大切。きっかけとしてまず一点買ってみると、きっと人生が変わりますよ」。
エディ・マルティネズ(1977〜)
右/BH Stack(Wishy Washy) 左/BH Stack#10(Positive Earth)“次のバスキア”という呼び声が高いエディ・マルティネズのスカルの絵は、色と構図に一目惚れ。リビングに2枚並べるアイディアが浮かび購入した。
マンゴ・トムソン(1969〜)
November14,2016(The End is Near)自らを映すとTIME誌の表紙になれる面白い作品。
田村琢郎(1989〜)
Street flower pot#3上/佐藤 允(1986〜)下2点/桑田卓郎(1981〜)
上/佐藤 允(1986〜) 口は災いのもと 下2点/桑田卓郎(1981〜) 茶垸最近、桶田夫妻が注目している若手作家の作品。緻密な描写に驚かされる佐藤 允の小品と、聖子さんが色を指定して委託制作してもらった桑田卓郎の陶芸。
クレア・タブレ(1981 〜)
Self-portrait with George( stripes)なかなか手に入らない人気作家の自画像。色とデザインが気に入った。
ショーン・ランダース(1962〜)
Robot Poet Alone哀愁を帯びたロボットの表情と繊細なタッチに惹かれた作品。
ジョージェ・オズボルト(1967〜)
右/Unwelcomed Visitors VIII 左/Unwelcomed Visitors XKAWS(カウズ)から贈られた思い出の人形やクララ・クリスタローヴァの愛らしい動物の彫刻などが、阪口宗雲斎の花籠と一緒に並ぶ。
Information
今春、第4回コレクション展が開催に
『OKETA COLLECTION:4G』展
- 「アートは人生そのもの」と語る桶田夫妻のコレクションを間近にできる好機。ほとんど新作で、委託制作した作品も出展。 会期:2021/4/8〜4/25 場所:スパイラル ガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1階) 無料
〔特集〕今こそ、教養として知っておきたい アートという資産
撮影/本誌・西山 航 取材・文/小倉理加
『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。