寝る前8分間の“しっかり歯磨き"で副交感神経をオン。首の痛みや肩こりにもおすすめ

【お悩み】筋肉を使った覚えがないのに、首や肩がこる

激しい運動などをしていないのに、首や肩が常に痛むのですが、病院では異常なしと言われてしまいます。

【回答】歯と歯茎をしっかり磨くことで改善する可能性があります

原因のわからない首の痛みや肩こりなどは、ストレスなどによる「腹側（ふくそく）迷走神経系」の働きの低下が原因のこともあるそうです。今回は、クリニック院長で医学博士の堀田 修先生の著書『自律神経を整えたいなら上咽頭を鍛えなさい』より紹介します。


迷走神経系の活動を回復させるためのセルフケアを

「最近の研究で、迷走神経には働きが異なる腹側迷走神経系と背側（はいそく）迷走神経系の2種類の系統があることがわかってきました。

強い危機やストレスなどを感じて神経システムへの負荷が大きくなり、脳がこの健康でおだやかな精神状態を司る腹側迷走神経系では対応できないと判断すると、腹側迷走神経系がオフの状態となり、代わりに闘争（闘う）と逃走（逃げる）の際に働く神経系である交感神経系が自律神経システムを支配することになります。

このとき、筋肉が固くなり、首こり・肩こりの症状が出ることがあるのです。ですから、まずは、ストレスの原因を取り除くと同時に、腹側迷走神経系の活動を回復させるためのセルフケアを積極的に心がけることが重要です」（堀田先生）

歯磨きで副交感神経を刺激する

「副交感神経を刺激し、オンにするための方法のひとつが“しっかり歯磨き"です。おすすめなのは、寝る前の8分間ケアです。就寝中は殺菌作用のある唾液の分泌がへるため、起きているときよりも口腔内細菌が増えやすくなるからです。

歯肉を傷つけないよう、やわらかめの歯ブラシを用意し、軽いタッチで5分間歯を磨きます。ポイントは、歯に対して斜めにブラシの先を当て、小刻みに動かすことです。そして、歯肉を歯ブラシで念入りにマッサージするようにブラッシングすることが重要です。

歯肉のブラッシングが副交感神経の刺激になるとされています。とくに下あごの前歯の裏は磨き残しが多く、歯垢がたまりやすい場所ですから、ていねいに磨いてください。

歯磨き後は、デンタルフロスや歯間ブラシなどを使って、歯と歯の間の汚れをかき出すように除去します。3分程度かけてすべての歯と歯の間をていねいにブラッシングしましょう。

1日1回、寝る前に毎晩行うことを習慣づけるといいでしょう」（堀田先生）

口内もきれいになって一石二鳥。原因が分からない「肩こり」や「首こり」に悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。