使いすぎた目の回復を促すアンチエイジングケアを
これらの基本ケアを実践したうえで、使いすぎている目の回復を促すアンチエイジングケアを行いましょう。
平松先生がすすめる方法の1つ目は目を温めること。血流がよくなって老廃物がよく流れるようになり、まつ毛の内側にあるマイボーム腺からの油分の分泌が促されて涙の質が改善します。
また、温熱効果で毛様体筋もほぐされてピント調整力も回復します。
「スマホ老眼とドライアイに特に効果があり、緑内障の悪化も防ぎます」。
瞳のアンチエイジングケア(1)
温める
温熱効果によって目の血流を促進することが視力低下や眼精疲労の回復につながり、特にスマホ老眼とドライアイの改善に効果が期待できます。スマホを一日中見ているような場合は、こまめに目を温めましょう。
いつでもホットアイ両手をこすり合わせて摩擦熱を発生させた後、手をカップ状に丸めて閉じた目の上に当て、1分ほど温める。入浴の際、湯船に浸けて温めたタオルを使って行うホットアイも手軽でおすすめ。
2つ目に取り組みたいのが目の際を清潔にすること。外出時にマスクが手放せない昨今、華やかなアイメイクが人気ですが、まぶたにつけた化粧成分は落ちにくいうえに目の際にたまりやすく炎症の原因になることも。
「清潔にすることはドライアイや眼病の予防につながるので、アイメイク後のケアも怠らないようにしましょう」
瞳のアンチエイジングケア(2)
清潔にする
目の際にたまりやすいメイクや汚れをしっかり拭き取らないと炎症が起きたり、ひどい場合はダニが発生したりします。
また、まつ毛の内側にある「マイボーム腺」と呼ばれる分泌腺をアイラインなどで塞ぐと、涙の質が低下し、目の表面が乾きやすくなってドライアイを引き起こすこともあります。
アイメイクをする際も目の健康への配慮が必要です。
アイメイク落としのコツ手にクレンジングをつけて落とす方法は洗顔成分が目に入ってしまったり、大切な油分まで取り除いてしまったりするので、綿棒をクレンジングで軽く濡らして目の際に沿って拭い取るのがよい。まつ毛が1ミリほど伸びたという報告もあり“まつ育”にも期待大。
そして3つ目に行いたいのが目の筋肉をゆるめること。手もとのスマホを見続けて緊張状態にある毛様体筋をゆるめてピント調整力の回復を図ります。
「目の筋肉をゆるめる最も効果的な方法はぼやっとした視界を眺めることです。+2度の老眼鏡を使用すれば、この状態を簡単に作り出すことができます。スマホ老眼だけでなく近視を改善することにも役立ちます」
瞳のアンチエイジングケア(3)
目の筋肉をゆるめる
手もとや近距離ばかり見続けることで緊張状態にある毛様体筋をゆるめてピント調節力を回復させることがスマホ老眼の改善につながります。1時間ほどスマホを見た後は30秒~1分間程度、2メートル以上離れた遠くのモノや場所を見るようにしましょう。
メガネやコンタクトレンズを使用している場合は、その上から100円メガネをかける。100円メガネ健康法100円ショップで購入できる「+2度の老眼鏡」を使って、わざとピントが合わない(視界がぼやける)状態を作り出すことが目の筋肉をゆるめるうえで最も効果的。100円メガネをかけた状態で、1~3メートル離れた遠くのモノや場所を5分ほどぼんやり眺める。視界がクリアになるだけでなく、目の疲れも取れる。
なお、市販の目薬は目が乾いたり、疲れたりしたときにこまめに使っても問題ありませんが、開封後は1か月を目処に買い替えます。安全性と効果面からいえば防腐剤が入っていない使い捨てタイプの目薬がおすすめ。
また、充血止めや抗菌剤は長期間使用しないこと。リバウンドを起こしたり耐性菌ができたりするおそれがあります。
【目薬の正しいさし方】
目薬を正しく使わないと効果が半減することをご存じですか。ついやってしまいがちですが、目薬を一度に複数滴さしたり、さした後にパチパチとまばたきをしたり、目を動かしたりするのはよくありません。下のイラストを参考に目薬の正しいさし方を覚えましょう。
1.目薬の容器の先がまつ毛に触れないように1滴点眼する。 2.目から鼻の入り口に目薬が流れていかないように目を閉じて目頭を1分程度押さえる。この処置によって効果が上がるだけでなく副作用も減る。〔解説してくださった方〕平松 類(ひらまつ・るい)先生二本松眼科病院 副院長。医学博士・眼科専門医・昭和大学兼任講師。専門は緑内障、網膜硝子体、白内障。指導する目の予防法や緩和法は実践しやすいと定評があり、YouTube「眼科医平松類」でも有益な情報を発信中。主な著書に『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる!ガボール・アイ』(SBクリエイティブ)がある。 取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2021年5月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。