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環境の変化は成長のチャンス。マインドフルネスで“ぶれない心”を育みましょう【前編】

2021.05.13

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自覚もなく周囲も気づきにくい過剰適応と躁的防衛とは?


一方で、周囲に合わせすぎてしまう「過剰適応」にも気をつけなければなりません。本人にはその自覚がなく、周囲も気づきにくく、やがて頭痛、腹痛、不眠、食欲低下、うつなど心身に症状があらわれるケースが多く、最近子どもたちにも増えています。

過剰適応の一つである「躁的防衛」も要注意です。無理にテンションをあげることで不安やストレスを乗り越えようとする反応で、初対面の人の前でやけに明るく振る舞う、新人の世話を過剰に焼き始めるなど張り切りすぎてしまい、疲弊して後が続かなくなるのです。

この場合、気をつけたいのは「私、できます!」といった雰囲気を出しすぎてしまうことです。仕事を次々と引き受け、オーバーワークになり、挙句に期待に応えられなかった自分を責めて落ち込んでしまう――。自己の本分を知り、自然体でできる範囲のことを楽しもうとする心がけがとても大事です。

瞑想習慣で心が落ち着く。まるで濁り水が澄んでいくように


マインドフルネス(今ここにある体験や感覚に注意を向け、「よい・悪い」の判断を挟まず、あるがままに受容する心の状態)の習慣が身につくと、自己受容(アクセプタンス)が高まり、変化に敏感なのは悪いことではなく特性だととらえられるようになります。

また、心を今この瞬間に置くことによって気づき(アウェアネス)が向上し、無理をしている自分に気がつき始めます。そして「週末は家でのんびり過ごそう」「休暇をとって温泉に行こう」などと自分で自分をケアすることができるようになるのです。

不安は、よくわからないものと向き合っている緊張感から生じます。瞑想で呼吸に集中し、あれこれ考えない静かな時間を持つと、思考がいったんリセットされて出来事を冷静に見る目が育ちます。

この効果はしばしばビーカーの中の泥水に譬えられます。かき回し続けると濁ったままですが、静かに置いておくと泥が沈殿して澄んでくる――。視界がクリアになれば心の緊張がほぐれ、「周囲の環境が変化しても、私はあるがままの私」と思えてきます。

マインドフルネスはレジリエンス(心の回復力)を育む方法としても有効性が注目されています。




今月のキーワード「レジリエンス(resilience)」

ストレスのかかる状況に対しても心を適応させることのできる能力。心理的な葛藤を成長の糧とすることのできる精神的復元力を指す。ナチス・ドイツによるホロコーストからの生還者やベトナム戦争からの帰還兵の、後の人生の調査研究においても注目された心理学用語。
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