「フタバアオイ」は、背が高く大きな花が咲く「タチアオイ」とは別の植物で、山林の地面付近に生え、花も小さい。京都三大祭のひとつ、「葵祭」に欠かせないのがこのフタバアオイである。今日は夏越の輪を越えて 参り給へや神山乃。二葉のあふひ年ふりて
選・文=大倉源次郎(大倉流小鼓方十六世宗家)
葵は上賀茂、下鴨、善光寺、そして徳川家と多くの神社仏閣や氏族の象徴の家紋として使用されている。
天災が多く、梅雨時にはカビが生える日本では、防災意識が高いと同時に、気候を生かした麴醱酵技術が進んだ。
農業国の日本に於いて、夏越の祓も大難を小難に小難を無難にと思う心。更に禍転じることを祈る人々の忘れてはならない知恵と工夫なのだ。
『家庭画報』2021年6月号掲載。
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