書・文=中村桂子(生命誌研究者)
地球には多様な生きものが暮らしています。アリはアリとして、バラはバラとして懸命に生きているのです。
私たちも人間として懸命に生きる事が大事です。ただ、人間の場合、技術を用いて便利に生きようとするために、生態系を壊し、他の生きものの暮らす場を奪っています。
もしかしたら人間は、自分だけが特別で、偉いと思い、傲慢になっているのかも知れません。自分たち人間を大切にすることは当然ですが、自己中心になって勝手なことをするのはどうでしょうか。
余りの自己中心を考え直すと、環境を壊すこともなく、私たち自身も暮らしやすくなるのではないでしょうか。
その時、私たちは人間、つまり自分自身を尊重していることになるのだと思います。
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。