ミュージカルの極意“ウディ・アレンの世界に浸る”
ウディ・アレンの作品に福田雄一さんの演出で参加する機会に恵まれるということで、初演の稽古のときから、僕は期待に胸を膨らませていました。
実際に、福田さんのリードのもとで“笑い”が生み出されていく道程はとても刺激的で、稽古場は活気と爆笑と喜びに満ちています。
ウディ・アレンといえばウイットに富んだコメディを得意とする人。アメリカン・ジョークを日本語に訳す際に、時折お客さまへの伝わりが難しいこともありますが、この作品ではそうした部分を解決しようと、福田さんが出すヒントに出演者たちが食らいついていき、みんなで試行錯誤する時間がとてもクリエイティブです。
ダンスはブロードウェイで活躍しているスーザン・ストローマンのタップをふんだんに取り入れた振り付けを踏襲しています。
楽曲はアメリカの1920年から30年代の作品を中心に構成・編曲されており、見応えと聴き応えは抜群。非常に心地よく楽しい展開になっています。
タイトルに出てくる“ブロードウェイ”は、この作品の物語の主軸であるバックステージものという立ち位置を表しています。
脚本を書いた劇作家と、その作品に修正を入れる一人のギャングとのせめぎ合いは、演劇に従事する僕にとって他人事とは思えない楽しさと切なさを感じさせてくれます。
言葉、舞台、情熱等をはじめ、さまざまなことを愛おしく想起させてくれるこの作品が大好きです!
鈴木壮麻(すずき・そうま)
1960年、東京都出身。82年から98年まで劇団四季に所属し、『オペラ座の怪人』『美女と野獣』などの大作に出演。退団後もミュージカルを中心に数多くの作品に出演し、2016年に『サンセット大通り』と『End of theRAINBOW』で第23回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。昨年はTBS日曜劇場『半沢直樹』の航空会社機長役で注目される。映像や音楽やナレーションなど幅広い分野で活動している。
ミュージカル『ブロードウェイと銃弾』
1994年にアカデミー賞7部門にノミネートされた名作映画をウディ・アレン自らがミュージカル化し、2014年にブロードウェイで上演された傑作コメディ。ブロードウェイの芝居をめぐって、劇作家や出演俳優、出資したギャングたちの人間模様を描いた作品である。舞台は1920年代の禁酒法時代で楽曲も当時の曲をアップテンポにアレンジしたものが多い。
演出/福田雄一
出演/城田 優、髙木雄也、橋本さとし、鈴木壮麻、平野 綾、愛加あゆ、保坂知寿、瀬奈じゅんほか
日生劇場~2021年5月30日
S席1万4000円ほか(全席指定)
東宝テレザーブ:03(3201)7777
URL:
https://www.tohostage.com/bullets/※兵庫、富山、群馬公演あり
※この情報は、掲載号の発売当時のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。 表示価格はすべて税込みです。
取材・構成・文/山下シオン
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。