――杉野さんが演じるエドマンドには、作者自身が投影されているといわれています。どう捉えていますか?「作者を知ることは、そのまま役作りにつながると思ったので、演出家のフィリップ・ブリーンさんとリモートでお話ししたときに、ユージンさんのことを聞いたんです。そうしたら、自分は何のためにここに来たのか、何でここで生きてるのかということを、鏡を見ながらすごく考えていた人で、自尊心が強いとも言われていたと。それを伺って、ユージンさんが本質的に求めていたのは愛だったんだろうなと感じました。そう思って戯曲を読むと、エドマンドが求めているのは純粋な愛だと思えてきて。でも、純粋な愛を得るのは難しい。フィリップさんも言っていたんですが、光があれば闇があるように、愛と憎しみは裏表だったりするから」
――ご自身は最近、純粋な愛を感じたことがありますか?「飼っている動物からは純粋な愛を感じます。めちゃくちゃ信頼してくれているのがわかるので。時々、なんでこういう関係を人間とは築けないんだろうって思ったりしますね、動物には自分をさらけ出せるのにって(笑)」
フィリップ・ブリーンは英国演劇界の気鋭の演出家。Bunkamuraシアターコクーンでの舞台づくりは、今回で4作目となる。