まるで布地で仕立てられたドレスのように自由な表情をもつジュエリー。 “アーシ ディオール”のコレクションは、フラウンス(ひだ飾り)やプリーツ、ベルト、ドレープなどが重なり合い構築的なフォルムを描き出す、ディオールのドレスやスーツがインスピレーションの源になっています。
“ミリュー ド シエクル(ミッドセンチュリー)”と名付けられた写真のリングも、重なり合うドレスのひだをペアシェイプのダイヤモンドを要に、扇のように優雅に広がる煌めきのラインで表現。ハイファッションのエッセンスをハイジュエリーに見事に昇華させた、どこからか衣ずれの音が聞こえてきそうな佇まいです。ステージを飾る夜会服のような大胆で個性的なフォルムですが、身につけると意外なほどしっくりとフィットし、手もとを美しく見せてくれるのも、ディオールのドレスやスーツに共通する魅力。クチュリエとして長年にわたってモードを牽引し続けてきたディオールならではの計算し尽くされたつくりとデザインです。身に纏うオブジェ、ジュエリーという名のアートピースとも呼びたい逸品を、母から娘へと受け継ぐジュエリーの一つに加えて。
構成・文/清水井朋子