量より質の“ものづきあい”を。作家・小川 糸さんの一生添いとげたい愛用のものたち

一日を豊かに彩るお気に入りの「手仕事」

ゼリーは小川さんの「夏のおとも」。文旦、はっさく、湘南ゴールド、はるか、レモンの5種の柑橘を使い、ガラスの瓶にたっぷりと作る。手におさまる可愛らしいサイズの急須には、冷やした中国茶を入れて。グラスをのせた金の丸皿は、お客さまの取り分け皿としても使うお気に入りの品。

自宅で執筆活動を行う小川さんにとって、作品は日常生活と結びついているもの。そんな小川さんの暮らしを心地よく彩るのが、愛用の道具たちです。お茶を淹れる、コーヒー豆を挽く、食事をする……日々のこれらの繰り返しも、お気に入りのものを使うことで、愛おしく大切な時間になります。


小川さんがものを選ぶときに大事にしているのが「肌になじむ」こと。吟味して選ばれたものとのつきあいは長く、漆の器は塗り直して、鍋は修理に出して、メンテナンスをしながら、育てるように寄り添います。

その一方で、気に入ったものは3つ、4つと揃えるという小川さん。そこには、万が一の予備としてはもちろん、作り手のかたがたへの応援の気持ちも込められています。