作品と自分にとってのベストなバランスを見つけたい
「作品や役は、巡り合わせに近いところもあると思うので、10年に一度くらい当たり役みたいなものに出会えたら、それはすごいこと。20代は『ディストラクション・ベイビーズ』で海外の映画祭に参加できたので、30代でも1本くらい見つけられたら、もういいかなと。
もういいというのは、例えば映画祭ばかり追い過ぎてしまうと、逃げて行く感じがするんです。だから、追いかけ過ぎず、もう少しクールになれたらいいなって……。もちろん、代表作は何本でも欲しいと思いますし、いつも自分にとって代表作になったらと思ってやっています。そういう気持ちが必要な場面もあれば、そうではないときもあると思うので、自分にとっていいモチベーションのバランスを見つけていきたいなと思います」
そんな柳楽さんは、今回の撮影現場で学んだことも多かった様子で、「阿部さんや(永山)瑛太さん、玉木(宏)さん、もちろん田中(泯)さんら、これだけの豪華キャストの方々と撮影させていただけたことは、勉強になりました。20代は脇役で参加させてもらうことが多かったので、今回は一つの作品に向き合い続ける難しさみたいなものを感じましたし、周りは主役をやられるような方たちばかりでしたから、現場ではこっそり見て勉強していました」。
老年期の北斎役は田中泯さん。「泯さんの北斎は、説得力がすごいんです。泯さんの北斎の青年期を演じられてよかったなと思いました」