手や指の症状は全身の状態を反映している
手や指、ひじなどに痛みを持つ患者を診察し、治療している平田 仁先生は、「手や指の動き、痛みや変形といった症状は全身の状態と関連しています」と話します。
なかでも肩や背中、腰と手や指のかかわりは大きいのです。「体の中心部が安定していないと、物理的に手や指に負担がかかりやすくなります」と平田先生。
背中や腰、おなか、肩に十分な筋力がないと、手を使う動作で知らず知らずのうちに手や指に余分な力を加えることになります。
例えば、加齢や病気などによってフレイル(筋肉量や筋力の低下)が起こると握力が落ちます。フレイルの診断基準に握力が入っているのがその証です。
握力が落ちるとペットボトルのふたを開けにくい、重い物を長く持って歩けないといった日常生活での不便が出てきます。
また、女性の場合は妊娠・出産期や更年期に手や指のトラブルが起こりやすく、ホルモン分泌の変化が関係していることが知られています。
手・指の健康は、使いすぎのような、その部分の問題だけでなく、加齢や全身の健康度合いが反映される傾向があります。
いつもはあまり意識していない手や指の状態、下のチェックリストを参考に、この際じっくり観察してみてください。
※当てはまる項目が多いほど、手や指の機能の衰えや病気のリスクが高くなります。 取材・文/小島あゆみ イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2021年6月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。