尾野さん流の役との向き合い方は、一歩引いて客観的に見ること
つらさや怖さを感じる一方で、「楽しくやっていました」とも言う尾野さん。あすみとして体験することは、「まだ私が経験していないことばかり」というのが理由の一つ。「そういう役をできることが楽しい」と言います。楽しんで演じることは、一歩引いて役を客観的に見ることにもつながっているよう。それは本作に限らず、いつものこと。
「本当に苦しんでしまったら、その芝居はできないなと思うんですよね。虐待をする親の役を演じたこともありますけど、一歩引いてやったほうが痛みがわかる。やるほうの痛みも、やられるほうの痛みも」
さらに本作に関しては、「つらかったですけど、現実のお母さんたちはもっとつらいんだろうな、“よし予行練習だ”と前向きに考えていました」。そして、3組の親子が描かれながらも、留美子（菅野美穂）と加奈（高畑充希）とあすみが顔を合わせることはなく、それぞれのストーリーが進むため、撮影も別。まず高畑さんのパートから始まり、尾野さんは最後だったそうで、「スタッフの方からいろいろな話を聞くんです。高畑さんはこうだった、菅野さんはこうだった、みたいな。そういう話を聞くからこそ、私は私らしい、我が家は我が家の家族らしいものをお届けしなければいけないなと。プレッシャーもありましたけど、ワクワクした感情もありました」。
別々の撮影だったため、完成した作品を観て初めて知ることも。「みんなすごいことしてたんだなって、大変さを試写で実感しました」
