日日是“笑”日(にちにちこれしょうじつ) 女優の柴田理恵さんが綴るきもの日記。きもののリメイク術から、愛犬との心温まる暮らし、得意の料理など、笑顔あふれる日常をお送りします。
前回の記事はこちら>> 水無月~目にも涼やかな、おうち単衣&晴れの単衣
蒸し暑い日が続くと、ささやかな風にも喜びを感じますよね。昔の人も同じことを感じていたのか、6月には「風待月(かぜまちづき)」という異名もあるとか。
そこで、今月は初夏の爽やかさを運んでくれるような単衣(ひとえ)のコーディネートをお届けします。まず、ご紹介するのは
『きものSalon』2021春夏号でも掲載された、母譲りの単衣です。
写真は、母の実家である富山県八尾町の「宮田旅館」での記念ショット。きものSalonの誌面では未公開の半幅帯に替えたパターンもお見せしています。さらに、心置きなく観劇やパーティできものを楽しむことができる日を待ち望みながら、「晴れの単衣」もコーディネートしてみました。ぜひ、ご覧ください。
帯替えで楽しむおうち単衣
ゆらゆらと波打つ水面を想起させる波筬織(なみおさおり)の単衣は、母が6月の茶会で度々纏ったという思い出深い一枚。
母が教員を退職した年に、北京へ旅行に出かけた際に、記念に買ってきたという代物なんです。中国できものの反物⁉というのが、なんだか可笑しいでしょ。
繊細な波筬の織りは、本当に涼やかで、子ども心に母が纏っているのを眺めて「あぁ、綺麗だなぁ」と思ったことが今でも記憶に残っています。
第一印象では「こんなきもの、持っていたかしらね?」と母。そのうち、中国で買い求めたことが蘇り、思い出話に花が咲きました。合わせた帯は、丸・三角・四角の図形の中を幾何学的な模様で埋め尽くした、ほっこりと愛らしい型絵染めの帯。どこか民芸調のデザインが、私好みです。
富山で過ごしたこの日は、がま口バッグを斜め掛けにした装いで、ご近所へ夕食の買い物へ。ポップな遊び心が、行き交う人の目を楽しませます。
家に戻ったら野の花を飾り、お気に入りの器で母とちょいと一杯。ご近所の福鶴酒造さんで母の好きな「風の盆」と「ふくく」を調達。翌日は帯を半幅帯に替えて、八尾の町をぶらりとお散歩。京都の田中伝機業店のリバーシブル半幅帯は、デザインが洒落ていてお気に入り。
こちらは、片面が街並みのシルエット、もう片面がランプ柄で家でゆったりとした気分で過ごすのにぴったり。
矢の字結びなら、気になるヒップラインもさりげなく隠れて小粋な後ろ姿に。帯締めは大好きなピーコックグリーン、ウッドの帯留めもぬくもりを感じさせます。