箏曲界の新星
作曲家が、名奏者の存在からインスピレーションを得て生み出した作品は、音楽史上にも多い。LEOはそんな、これからの新たな箏曲の誕生に大きく貢献する箏奏者ではないだろうか。
アメリカ人の父と日本人の母を持ち、日本で生まれ育った。もともとは、日本人としてのアイデンティティを確認したい気持ちから、箏に打ち込むようになったという。そして2017年にデビュー。以来、古典だけでなく現代音楽にも挑んできた。
4枚目となるアルバムでも、バロックから現代まで幅広い楽曲を収録した。
バッハは、作品のシンプルな美が、音が減衰する箏の表現と見事に融合。ドビュッシー「塔」では、ピアノ原曲版とは別の趣深い華やかさで圧倒する。
そこにチェロ、ピアノとのトリオによる坂本龍一「1919」が続き、新鮮な刺激をくれる。さらに八橋検校「みだれ」も収録し、古典も追究する気概を見せた。
藤倉 大の「竜」は委嘱作品。LEO自身が編み出した奏法を伝えるなどのやりとりを重ねた末、彼の音色やテクニックを想定して書かれたものだ。
枠にとらわれない感性、聴き手の心を捉える魅力を持つ新星が、和楽器の新たな地平を切り拓く。
LEO(れお)箏アーティスト。1998年横浜生まれ。この春、東京藝術大学音楽学部邦楽科現代箏曲コースを卒業した。去る3月にはテレビ朝日『徹子の部屋』に出演。活躍の場を広げている。 編集部おすすめ
〔コンサート〕
しんうらやす おとマルシェvol.13LEO(箏)&黒田鈴尊(尺八)
【千葉】J:COM浦安音楽ホール
2021年7月7日(水)14:00開演
チケット料金:1000円
LEOリサイタル【富山】黒部市国際文化センターコラーレ
2021年7月25日(日)14:00開演
共演/高橋優介(ピアノ)
チケット料金:3000円
URL:
https://leokonno.com/※この情報は、掲載号の発売当時のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
〔CD〕『In A Landscape』
COCQ-85523 3300円 日本コロムビア4thアルバムは、J.S.バッハ、ドビュッシーから坂本龍一、ジョン・ケージまで。和楽器とクラシックの融合により生まれた新たな音世界が収録されている。
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/高坂はる香
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。