今のライフスタイルに合わせて選ぶ 新「洋食器」の楽しみ方 第8回(全18回) 愛着ある洋食器も、いつもと違うコーディネートや、新しいアイテムをプラスすることで、日常のテーブルが夢のようなシーンに変身します。洋食器をこよなく愛する、器づかいの達人の素敵な暮らしから今、取り入れたい「洋食器」の楽しみ方をお届けします。
前回の記事はこちら>> 終の和食器と組み合わせてニッポンの美との融合でモダンに
佐川久子さん(料理研究家)漆器や染付をプラスして、洋食器の新たな表情を引き出す
ランチを楽しむ夏の食卓では、あえてテーブルクロスは使わず、折敷を並べて軽やかに。上には「大橋洋食器」のガラス釉のアースカラープレートと、古伊万里の染付蓋付碗を重ねた。黒漆の折敷やスープを入れたグラスが並ぶ長方皿、ローストビーフを盛った拭き漆のへぎ板は、すべて「蔦屋漆器店」の輪島塗。中央のガラスや左にある「ロイヤル コペンハーゲン」の丸皿は、金属製のトレーやバスケットに重ねて高さを出し立体感を作る。「木村硝子店」のカクテルグラスに盛ったジュレも目に涼やか。「昔はヨーロッパのエレガントなスタイルに憧れて、使う食器もクラシカルなものが多かったんです。しかし一昨年(2019年)の自宅のリフォームをきっかけに、持っている器を見直してかなりの数を手放し、食器の好みも変わりました」と話す佐川久子さん。
“今、そしてこれからも使っていきたい器”だけに削ぎ落し、シンプルシックなインテリアに合わせて食器もシャープな印象のものを選ぶようになったのだとか。そんな厳選された器揃えに、ここ最近新たに加わったのが和のアイテムです。
ガラステーブルに並ぶ、一生大事にしていきたいと揃え始めた輪島塗もその一つ。傷がついても塗り直せることを知り、日常づかいをするようになりました。何度か修理しながら使うほどに、そのよさを感じているのだそう。
「上品なつやをまとった漆器は卓上に凜とした空気をもたらし、いつもの洋食器がモダンな表情になります。またグラスやガラス釉など、涼感ある器の輝きを静かに映し出し、夏らしさが演出できます」。
さらに「草花モチーフの北欧の器と、雪輪や花といった自然美を文様化した和食器。国は違えど色も趣も通ずるものがあり、しっくりなじみます」とも。和と洋を融合させて新味あるコーディネートを作ります。
食後はソファでティータイム。スコーンと干菓子を日本の伝統工芸である組子細工を生かした脚付きガラスプレートにのせ、英国で見つけたアンティークのジャムポットとともにサーブ。シダ柄のカップ&ソーサーは「アトリエ ジュンコ」のもの。そして屋外のブランチで愛用しているのが竹細工のかご。
「ナチュラルな素材感は、カジュアルシーンでよく使っている温かみある器と好相性。キッチンから細々としたものをまとめて運べる実用面でも重宝しています」。
ブランチを楽しむデッキのテーブルはリラックスした雰囲気を演出
心地よい太陽の光に映える、ナチュラルな質感の器と竹細工薄切りのきゅうりを巻いたサンドイッチケーキと果物をのせた皿は、フランス人芸術家のジャンバティスト・アスティエ・ド・ヴィラット氏が手がける「ルギャール」製。グリーンピオニー柄の「ジアン」の取り皿で華やぎを添えて。「竹虎」の豆腐かごは、蝶番のある蓋と小物が入れやすい浅い作りも魅力で、ピクニックバスケットさながらに和洋の取り合わせを楽しむ。ハンドペイントの英国製ポットは野菜入れに転用。取り分け用に「ロイヤル コペンハーゲン」の白磁のティーカップという器づかいが心憎い。 『Bread Party 人気パン教室 Grano Di Ciacoの四季のブレッド・パーティー』 予約のとれないパン・レッスンBaking Studio Grano Di Ciaco主宰の佐川久子さんが魅せる、パンが主役のおもてなしのテーブルと四季折々のお料理。レシピはもちろん、こだわりの粉配合までお教えします。
撮影/鈴木一彦 取材・文/鈴木博美
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。