失敗から学ぶ「大人のダイエット」の極意
ダイエットの大原則はわかっているのに何度も失敗してしまうのはなぜでしょう。誰もが失敗している事例を挙げて、科学的根拠に基づいたダイエット法を筑波大学人間総合科学学術院 教授の久野譜也先生に指南していただきます。
タンクトップ〈参考商品〉/ルーパ レギンス1万1000円/マンドゥカ(ともにプラヴィダ)〔失敗事例1〕
「食事制限だけで一時体重は減りましたが、リバウンドを起こして元に戻ってしまいました」〔久野先生の回答〕
食事を減らすだけのダイエットは、筋肉量を減らし、やせにくい体をつくります。運動をしないで食事量を減らすだけのダイエットの最大の問題点は「脂肪とともに筋肉も減っていく」ことです。
最初は順調に体重が減っていっても筋肉が減ると基礎代謝も低下するため、体重はそれ以上減らなくなり、そのうちリバウンドを起こして体型が元に戻り、筋肉は落ちたまま脂肪が大幅に増え、基礎代謝が下がった分、ダイエットを始める前よりもやせにくい体になるのです。
こうした無謀なダイエットを繰り返していると筋肉が脂肪に置き換わる「サルコペニア肥満」になるスピードが加速し、脳卒中、心臓病、糖尿病、高血圧、膝痛、腰痛、骨折などの罹患リスクもぐんと上がり、健康寿命にも影響します。
“近頃太りやすくなった”と感じている人は黄信号。サルコペニア肥満の危険が迫ってきています。食事量を減らすだけのダイエットは、今すぐにやめましょう。
食事制限のみのダイエットは3か月で加齢5年分の筋肉を減らす
資料提供:筑波大学久野研究室久野研究室によると食事制限だけのダイエットを3か月続けると筋肉量が3.5パーセント減ることが判明。これは加齢5年分の筋肉量の低下に相当する。
〔失敗事例2〕
「長続きしないので、いつもダイエットは短期決戦を繰り返しています」〔久野先生の回答〕
途中でやめるとすぐに元の状態に戻り、ダイエットに取り組んだ意味がなくなります。何事も目標や期間を限定したほうが集中することができるため、ダイエットも短期決戦で取り組みたい気持ちはよくわかります。しかし、ダイエットに限っては短期決戦だと失敗しやすくなります。
なぜなら途中で休んだりやめたりすると体重はリバウンドしてすぐに元に戻ってしまうからです。
体重だけでなく、筋肉も同じです。筋トレを2週間続けても次の2週間を休んでしまうと筋肉量は元の状態に戻ることがわかっています。
つまり、途中でやめる形になる短期決戦のダイエットは取り組んだ意味がなくなってしまうのです。
また、短期間のダイエットを繰り返すことによってサルコペニア肥満の危険性も高まります。このことをきちんと頭に入れておくことが必要です。