“門前払い率”の高さは病院の規模に比例する
尾藤先生いわく、“門前払い率”の高さは病院の規模に比例する。つまり、大学病院、大きな総合病院、中小病院(地域の少し大きめの病院。町村名や苗字を冠していることも多い)、診療所(クリニック、医院を含む)の順でハードルが高い。“とりあえず”くぐるのはなるべく小さな門が無難だ、と――。
「なぜなら大病院ほど医師の専門領域が細分化されているので、患者さんがその範疇に当てはまる率が低くなります。それに比べて診療所の医師は守備範囲が広い。内科の看板を掲げていれば、腹痛、頭痛、吐き気、めまい、だるさ、肩こりなど、たとえ漠然とした訴えでも耳を傾け、『何とかしましょう』と対応してくれることが多いのです」
診療所では、どのように“何とかして”くれるのでしょうか。まず一通りの診察や検査を行って問題点を整理し、薬を出すなどの治療をします。7、8割はそこで解決しますが、専門的な検査が必要と判断した場合は、適当な医療機関に紹介状を書きます。これが「この患者さんの病状は〇〇先生の専門の範疇です」と示す証明書になるのです。
「医師という職業のいいところは、互いを商売がたきととらえていないことです。自分に対応しきれない患者さんには専門の病院や医師を紹介し、治療の連携を取るのが義務だと教育されています。病院選びはまず診療所へ、それから紹介状持参で大きな病院へ――。これが最も無駄のないルートだといえます」