納得の病院・医師に出会うためのケーススタディー
ケース①
ハートセンターで、「心の病はみられません」と無下に断られた
最近、不眠に悩まされているAさん(55歳)。親の介護疲れで気分も沈みがちなので、近所の「ハートセンター」という病院に行きました。心のケアを受けられると思ったのです。ところがAさんが悩みを訴えるのに、医師が尋ねてくるのは不整脈や動悸のことばかり。話がまったくかみ合いません。実はそこは循環器専門の病院でした。ハートとは心臓の意味だったのです。
気を取り直して後日、別の病院の神経内科にかかると、今度は「ここはパーキンソン病の専門です」と。なかなかぴったりの窓口にたどり着くことができません。
【患者の心得】
大病院の診療科目はとても複雑。わからなくて当たり前病院名や診療科名だけで、患者さんが自分の症状と合うところかどうかを判断するのは至難の業。特に大きな病院の診療科は細かく分かれていて、しかも同じ病気でも病院によって神経内科、脳外科、循環器科など扱う科が異なる場合もあるので、よほど医療に詳しくなければ迷うのは当然です。
最短ルートで最適な診療科に行き着く確実な方法は、やはり診療所を受診して、「〇〇病院〇〇科〇〇先生宛」の紹介状を書いてもらうことです。最近は「総合内科」「総合診療科」を設けている病院も増えています。紹介状なしに受診するときは、そこを入り口にするのがよいでしょう。
ケース②
「〇〇病院の〇〇教授を紹介してほしい」といったら主治医が怪訝な顔をした
Bさん(52歳)はテレビの健康番組や医療雑誌が大好き。ネットの医療サイトも頻繁にチェックする情報通です。ある日、健康診断で夫に大腸がんが見つかりました。近所の胃腸病院でみてもらうと、かなり進行しており、早めに手術をしたほうがいいといわれました。
主治医の先生は、大腸がんの術例の多い近くの総合病院の消化器外科に紹介状を書きましょうといってくれましたが、Bさんも夫も、医療雑誌で“神の手”を持つと紹介されていた某大学病院の教授に手術をしてもらいたいと思っています。
【患者の心得】
主治医に判断をゆだねつつ、希望を伝えるのが賢い方法世の中に医療情報が溢れ、Bさんのような意向を持つかたは増えています。紹介先の医師を指名することに問題はありませんが、「〇〇先生に紹介状を書いてください」といきなり限定すると抵抗を示す医師もいるでしょう。その医師の専門が患者さんの病状に合わないケースもあります。
たとえば次のように話してはいかがでしょうか。「〇〇大学の〇〇教授が大腸がんの名医だという記事を読みました。主人の場合、その先生が妥当なのかよくわからないのですが、先生はどう思われますでしょうか」。希望を伝えながら最終的な判断を専門家である主治医に任せるのです。
ケース③
受診すべきか判断に迷う
咳が一週間止まらないCさん(58歳)。医師にこの程度で――と思われたくない一方で、早期発見早期治療の言葉も浮かび、受診するか否かで迷っています。
【患者の心得】
「症状の程度×期間」の掛け算で一つの目安として「症状の程度×期間」の積で判断する方法があります。軽い症状が長く続くとき、あるいは2、3日でも症状が重いときは受診を考えましょう。また、ダイエットをしていないのに体重が減る場合は、がん、結核、リウマチ、糖尿病などが原因のこともありうるので早めの受診を。