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【女医たちの更年期物語】卵巣手術後、体と仕事と生活の調和を考えながら迎えた50代

2017.12.22

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42歳のとき、定期健診で卵巣が腫れていることが判明しました。今回の卵巣のう腫は子宮内膜症が原因で起きる「チョコレートのう胞」。しばらく様子を見ていましたが、小さくなる気配がありません。

「40代の子宮内膜症性のう胞は悪性化することもあるといわれていたので、手術を受けました。前回は開腹手術で、今回は腹腔鏡下手術。産婦人科医である私が婦人科系の病気で、異なる術式の手術を受けたことは診療にも役立っています。知識だけでなく経験者の視点でもお話ができますから」


年齢的な要因に、卵巣の大半が切除されたことが重なり、術後は女性ホルモンの分泌が激減。月経もなくなり、ホットフラッシュなど更年期のような症状が起きてきました。ホルモン値を計るとほぼ閉経状態。

「42歳で閉経はまだ早すぎます。骨粗しょう症やコレステロール値が上がるリスクに早くからさらされるのもよくないので、HRT(ホルモン補充療法)を始めました。1〜2か月でホットフラッシュは改善。HRTには子宮内膜症の症状を起こす副作用があるのですが、私の場合は幸い許容範囲内でしたので10年以上続けることができました」

こうしてホルモン値も緩やかに下降。50歳の頃は人並みに子どもの受験や親の看取りで精神的に疲弊したり落ち込んだりしたこともありましたが、適切なHRTで特に体につらい症状もなく過ごせているといいます。

社会は変わっても生物学的な女性の体は変化しません。卵巣を二度手術した小田先生は、人よりもそのことを強く意識して人生設計を組み、更年期を迎えました。

更年期症状の現れ方に差があるのは、環境、性格、ストレスなど個人的要因の違いだといわれます。生き方の選択肢が増えた今、50代は多くの女性が立ち止まって人生を振り返る年齢でもあります。このとき、周りと比べて自信をなくしたり、ネガティブな感情が強いとストレスによる自律神経の乱れが更年期症状を重くすることがあります。

「私は、自分が置かれた環境の中でベストを尽くそうと、取捨選択しながら生きてきました。落ち込んだときは、捨てたものでなく選んだものを見る。そうすれば明日はきっといいことがあるに違いないと思えるのです」

Information

こころとからだの元氣プラザ

東京都千代田区飯田橋3-6-5

    小田瑞惠(おだ・みずえ)


    「体の仕組みをよく知っておいてほしい」と診察では模型を用いて説明することも。

    1961年生まれ。産婦人科医。東京慈恵会医科大学卒業。
    同大学附属病院、東京都がん検診センターを経て、2002年よりこころとからだの元氣プラザ勤務。
    婦人科外来での診療および、がん検診や人間ドックの普及・啓発活動など予防医学に力を入れる。
    東京慈恵会医科大学産婦人科講師、日本産婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会常務理事、日本婦人科がん検診学会理事など。
    【連載】女医たちの更年期物語 ほかの物語を読む ・皮膚炎、うつ、離婚問題に苦しんだ日々。ダイビングとの出会いが自分を変えた 医学の記事は毎週金曜更新です。「女医たちの更年期物語」次回は1月26日(金)配信予定です。
    取材・文/浅原須美
    イラストレーション/水上多摩江 撮影/本誌・久保田彩子

    「家庭画報」2018年1月号掲載。
    この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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