確かな情報を選択するために、自分自身の知性を磨いて
西洋占星術・鏡リュウジさん心理占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学大学院修了。占星術の心理学的アプローチを日本に紹介、占星術の歴史にも造詣が深い。『鏡リュウジの占星術の教科書』(原書房)のほか、著書、訳書多数。息苦しい世の中に希望を与えるキーワード
「風の時代」という言葉をあちこちで目にするようになりました。木星と土星の接近によって昨年(2020年)末に土地やお金や権力に重きがおかれた「地の時代」から、情報や科学、知識が重視される「風の時代」に移行したとされることは、皆さんもすでにご存じかもしれません。
「風の時代」という占星術の用語が、単に占い好きの人々の範囲を超えて、広くメディアで取り沙汰されるようになったことには、占星術家である僕がいちばん驚いています。この言葉が広く受け入れられた理由はいろいろあるのでしょうが、何よりも、先が見えず、この息苦しいコロナ禍の中にあって、「風の時代」という爽やかな響きが人々の心に少しばかりの慰めと希望を与えることになったからではないかと思っています。
一方で僕は、この「風の時代」という言葉が少し独り歩きしてしまっているようにも感じています。
せっかくなので、ここでちょっと「風の時代」という考え方の背景を簡単におさらいしておきましょう。「風の時代」というキャッチーな言葉こそ、ごく最近の発明ではありますが、その背景には長く由緒正しい歴史があるからです。
かつてのノストラダムスの大予言やマヤ暦の予言と同じように、「風の時代」という言葉や概念が一時のトレンドとしてあっという間に消費されて風化してしまうのも、もったいない!