フィギュアスケート

平昌五輪の前哨戦、グランプリファイナル。 強さを見せつけたのは……

2017.12.18

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破格の強さを見せつけたロシア選手たち。万感の思いを今大会の滑りに込めて


シニア女子の出場6選手中、ロシア2、日本2、カナダ1、イタリア1。本当はロシア3、日本1の予定がメドベージェワ選手の欠場によりバランスが変わりましたが、ロシア女子優位が揺らぐことはまったくありませんでした。


シニアデビューした今季、いきなり3大会連続優勝を果たしたアリーナ・ザギトワ選手。後半にジャンプをまとめ、大きなミスなく滑りきる安定感が強み。


初めてのGPF女王に輝いたのは弱冠15歳のアリーナ・ザギトワ選手。キラキラしたオーラがまばゆいくらいでした(笑)。2位に入ったマリア・ソツコワ選手も17歳。ロシア女子の10代半ば時代の可愛さといったら、ほんとに別格です!

それにしても、いったいどれだけのトップスケーター予備軍を抱えているのでしょう。数年前まで、GPFの常連だったエレーナ・ラジオノワ選手、アンナ・ポゴリラヤ選手などは、まだ20歳にもなっていないことを考えれば、この場にいてもおかしくありません。そういった強豪を押しのけて、世界トップスケーター6人で争うGPFの出場権を獲得し、しかも表彰台に乗っているわけですから、ロシア女子の選手層の厚さたるや、恐るべしです。

ロシア女子は、スケーターとしてのピーキングを体型が変わる前の思春期、15歳前後〜20歳前に持ってくるケースが多いのかもしれませんが、少し前に引退を発表したユリア・リプニツカヤさんの演技も素敵でしたよね。彼女の演技もまだまだ見ていたかった。選手生命が短いスケーターが多いのは寂しいので、メドベージェワ選手やポゴリラヤ選手も早く元気に復活してくれることを願っています!

30歳のセルゲイ・ボロノフ選手に送られた熱いスタオベ


そして、そんな中、11月のNHK杯に続き、またしても気迫に満ちた演技を見せてくれたのがセルゲイ・ボロノフ選手(ロシア)。エフゲニー・プルシェンコさんという絶対王者がいたロシアにおいて、若手にも押され、苦しい時期も長かったと思いますが、30歳の今もなお現役でトップ争いをしているということだけでも胸熱になります。


今大会も熱い演技を見せてくれたセルゲイ・ボロノフ選手(ロシア)の振付は2014/15シーズンからミーシャ・ジー選手(ウズベキスタン)。壮大で盛り上がりますね!

自身のGPシリーズ初優勝となったNHK杯で喜びをかみしめる姿に、その魅力を再認識した方も多かったのではないでしょうか。今回ショートプログラム(SP)で5位と出遅れたものの、フリースケーティング(FS)では178.82の4位。20代の選手たちがFSに4回転を3本以上入れてくる中、2本に絞り、全体のバランスを大切にする自分のスタイルを貫く有り様は、まさにスケート界の「兄貴」!

平昌五輪におけるロシアの男子シングル出場枠が2つあった今回、もしかしたらミハイル・コリヤダ選手とともに国家代表として五輪に初めて出られたかもしれないのに、ロシア出場不可の決定が下された現在、心が折れかかっても不思議ではありません。

もし出場したとしても、それは国家代表ではない可能性が高いわけですから。もちろん、IOC(国際オリンピック委員会)の決定は致し方ないことではあると思いますが、真摯にスポーツに向き合ってきたのに翻弄される選手たちの心情を思うと、言葉がありません。

そんな状況下で、万感こもった素晴らしい演技を見せてくれたセルゲイ。場内はスタオベ、目頭を押さえている観客も多数いました。泣ける演技でした。総合4位という結果ではありましたが、心から拍手を送りたいと思います。



22歳のミハエル・コリヤダ選手(ロシア)。4回転ルッツとスケーティングのレベルの高さで注目されている選手です。
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