「勝敗も大事だが、それ以上に人生を泳ぎで表現したい」
――萩野選手が思う「スポーツの力」を聞かせてください。H 選手がその競技に全身全霊で向き合って得られた感動や悔しさを、観てくださっているかたと一緒に分かち合える。これこそがスポーツの醍醐味。太古の時代からスポーツが普遍的で、人々を魅了してきた理由なのではないでしょうか。
スポーツっていいなと共感してもらえるために、僕たちアスリートはトレーニングに真摯に向き合い、モラルやドーピングといったことも含めて自分を律し、心してスポーツに臨む必要がありますよね。自分たちの姿を通じてその競技の魅力を発信することが、現役選手にとっての一番の仕事なのだと僕は思っています。
――これからの競泳界を担う子どもたちに向けてひと言お願いします。H 陸上にはない感覚が水のなかにはある。まずは、それを思い切り楽しんでください。競技を続けているお子さんたちに問いかけたいのは「タイムを出せると嬉しいですか。優勝できて幸せですか。2番になって悔しいですか」ということ。泳いでいて嬉しかったらその先にはまた新しい水泳の楽しみがあり、悔しい思いをしたその先にも、また新しい水泳の世界があるはず。
子どものときの水遊びの延長からの水泳も楽しいし、大人になって僕のように紆余曲折あったあとの水泳も楽しいです。苦しいこともあるかもしれないけれど、水泳、そしてスポーツは必ずその先にお楽しみを準備して待っていてくれるので、まずは全力でそのときその一瞬に向き合ってください。