熱中症にかかってしまったら「経口補水液」をすぐに飲む
もしも熱中症にかかってしまったら、下表のチャートに従い、迅速かつ適切に対処することが肝心です。
「熱中症の発症で最も怖いのは後遺症が残ることです。なかでも脳に強いダメージを受ける高次脳機能障害(記憶障害、言語障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など)は深刻です。この後遺症を回避するためには脳の血流障害をできるだけ早く改善することが重要で、それには点滴と同じ即効性のある経口補水液を飲むことです」と谷口先生はいいます。
最初は500mlほどの量を飲めるだけ一気に飲み、その後は少しずつ補給していく方法がよいそうです。
例年以上の猛暑が予想されているうえに昨年同様、マスク熱中症のリスクも高い今年の夏はいざというときに備えて経口補水液を自宅に常備し、外出の際も携帯すると安心です。
体液に近い成分が含まれている経口補水液は治療薬に等しいとみなされているため、薬剤師がいる薬局やドラッグストアでないと購入できません。
経口補水液のペットボトルの蓋を自分で開けられないときは意識があっても救急車を呼んで医療機関で治療を受けます。
熱中症の症状と酷似する新型コロナウイルス感染症を疑われると救急搬送に時間がかかることがあります。救急車を要請した時点で暑い場所にいたことで熱中症を発症した可能性があることを伝えておくと救急搬送がスムーズです。
熱中症になったときの対処法
〔解説してくださった方〕谷口英喜(たにぐち・ひでき)先生済生会横浜市東部病院 患者支援センター長・栄養部部長。福島県立医科大学医学部卒業。日本集中治療医学会専門医、日本救急医学会専門医。専門は麻酔・集中治療、経口補水療法、臨床栄養、周術期体液・栄養管理など。脱水予防の啓発活動に注力し「教えて!『かくれ脱水』委員会」の副委員長としても活躍中。 取材・文/渡辺千鶴 イラスト/にれいさちこ
『家庭画報』2021年7月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。