《シロクマ》1923-1933年/大理石 群馬県立館林美術館蔵一度見たら忘れられない、実物大のシロクマ像。パリのオルセー美術館でご覧になり、覚えていらっしゃるかたも多いのでは?
作家の名前も一度聞いたら忘れられない。フランス・ブルゴーニュ生まれの動物彫刻家、その名も、フランソワ・ポンポン。日本における初の回顧展が開催される。
1855年生まれのポンポンは、ディジョンの墓石店で大理石職人の見習いとして働きながら美術学校の夜間課程に通い、彫刻の基礎を学んだ。
その後パリに出て、昼間はやはり大理石職人として働きながらプティット・エコールの夜間課程へ。
その後は、ロダンをはじめとする彫刻家の制作助手を務めながら、こつこつと自分の作品を作り続けたという。
前出の《シロクマ》がサロンで評価を受け、名前が知られるようになったのは67歳のときだ。
《ペリカン》1924年/ブロンズ ディジョン美術館蔵(国立自然史博物館より寄託)© Musée des Beaux-Arts de Dijon/FrançoisJay「20世紀初頭、ポンポンはなめらかで洗練された新しいスタイルの動物彫刻を生み出し、人間像が主流の彫刻史に大きな影響を与えました。日本ではここ10年ほどで認知度と人気が高まってきたように思います」とキュレーションを担当した群馬県立館林美術館の学芸員、松下和美さん。
本展では、日本で唯一ポンポンのまとまったコレクションをもつ群馬県立館林美術館の所蔵作品に、生誕地ソーリューにあるフランソワ・ポンポン美術館、ディジョン美術館、オルセー美術館からの特別出品を加えた約90点が展示される。
《ワシミミズク》1927-1930年/ブロンズ パリ、オルセー美術館蔵 © RMN-GrandPalais(muséed’Orsay)/ A.Morin / Gallimard / distributed by AMF「ポンポン自身は作品を動物の実物大で作りたいと考えていたようですが、実現したのは数点のみでした。今回の展示作品のほとんどは10〜40センチと小型ですが、なかにはペリカンなど約1メートルの実物大作品も。卓上サイズの《シロクマ》も展示されます。ポンポンのかわいいだけではない動物彫刻の魅力を、存分にお楽しみください」
フランソワ・ポンポン展 〜動物を愛した彫刻家〜
京都市京セラ美術館〈本館北回廊2階〉~2021年9月5日
休館日:月曜(8月9日は開館、10日休館)
入館料:一般1800円
TEL:075(771)4334
URL:
https://pompon.jp※愛知、群馬、千葉、ほか1都市を巡回予定
表示価格はすべて税込みです。
構成・文/安藤菜穂子
『家庭画報』2021年8月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。