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冷たい蕎麦にシャキシャキ大根を合わせて。暑い夏においしい極上の蕎麦レシピ

2021.08.08

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

夏大根のけん蕎麦


夏大根のけん蕎麦

夏はあっさりそうめん、生姜やみょうが、青じそなどの夏らしい薬味を添えてツルツルっと……。しかし、そればかり続くと家族から「また」などと(笑)。

今日はそうめんではなく、夏らしい蕎麦の食べ方をご紹介します。


写真の蕎麦は、私どもの料理人が手打ちしたものですが、ご家庭では手打ちというわけにはいかないので、乾麺か茹で麺、冷凍麺ということになると思います。いずれも手打ちほど蕎麦の香りはありません。

手打ちするにしても、秋の新蕎麦はまだ先なので、夏は昨年収穫して保存しておいた蕎麦粉を使うしかなく、香りが低減しています。最近は保存設備も発達し、長期間おいしい蕎麦が食べられるようにはなりましたが。

香り高い新蕎麦が手に入らないときは、夏大根を刺し身のけんのようにせん切りにして蕎麦と合わせると、夏においしい蕎麦になります。夏大根は冬のものに比べて辛みが強く堅いので、通常は大根おろしにして合わせます。手打ち蕎麦なら、それがいいかもしれませんが、乾麺や食感の悪い茹で麺なら、大根けんにして合わせたほうが食感と風味が弱点を補い、食が進みます。

桂むきなんかできないし……。心配いりません。お店で出てくる大根けんはほとんどが作り置きです。そんなものより、食べる直前に櫛刃を付けたスライサーでさっと作った瑞々しいケンを合わせたほうが絶対においしいです。

蕎麦ゆえに、これ以上伸びないように話はこれくらいにして、今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「夏大根のけん蕎麦」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 甘み 油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

・大根けんを繊維に沿って縦に切れば強い食感になり、横に切れば歯切れがよくなる

蕎麦の風味を蕎麦スプラウトが、貝割れ菜が辛みを補い、揚げた蕎麦の実が油分と食感をプラス

・大根けんは水につけ過ぎると、シャキッとはするが大根の味も風味も抜けてしまう。スーパーマーケットなどで売っている刺し身についているおいしくないけんはその状態である。







「夏大根のけん蕎麦」


夏大根のけん蕎麦

【材料(2人分)】
・そば(乾麺または茹で麺、冷凍麺) 2人分

・大根 6~7cm

・蕎麦スプラウト 適量

・貝割れ菜 適量

・そばの実 20粒

・美味出汁 適量
出汁4:濃口醤油1:日本酒1:みりん0.8の割合

・揚げ油 適量

【作り方】
1.大根の皮をむく。スライサーの厚みを1.2~1.5mmに調整し、刃同士の間隔がそれと同じくらいの櫛刃をつける。

2.大根けんの強い歯ごたえが好みなら、大根の繊維に沿って縦にスライスし、気持ちのよい歯切れを望むなら繊維を切るように横にスライスする。スライスしたものをざるに入れてボウルにためた冷水につけ、蛇口から水を流しながら一気に20~30秒さらす。シャキッとなったら、すぐに水から上げてざるごとよく振って水気をきる。

3.蕎麦スプラウトと貝割れ菜は2cmくらいに切っておく。蕎麦の実は色づくくらいに揚げてクッキングペーパに広げて余分な油を除く。

4.乾麺は茹でて冷水で洗って締める。茹で麺、冷凍麺は表示に従う。

5.4の水気をよくきってボウルに入れ、2の大根ケンと混ぜて器に盛る。上から3のスプラウト、貝割れ菜をのせ、蕎麦の実をふりかけて美味出汁を添えて供する。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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