日本舞踊の会には、甘やかな雪の気配で
子供のことからお稽古をつけて頂いた坂東流の年末チャリティー舞踏会にて。雪の世界を表現する際には決まってモノトーンになりがちだった反動で、この日は珊瑚朱のような華やかな鮫小紋で。和の集いの時には、心置き無くたっぷりと、クラシックな色を楽しむことができます。
雪の結晶の帯を合わせると、夕日に染まる雪原のよう。少し、夕刻のメランコリックな情景をまとったせいか、これまで携わった舞台や共演者に思いを馳せてしまいました。歌舞伎や日本舞踊の衣装は思いがけない色合わせがあり、それが目に焼き付き、記憶にとどまったものが、今の私のきものの装いに、どれほどヒントになったことでしょう。
一色采子/Saiko Isshiki
女優
日本画家の故・大山忠作氏の長女として東京都に生まれる。毎日をきもので暮らしたお母様のもとで、コーディネートや着こなしのセンスを磨き、現在はファッションのアイテムを取り入れながら独自のスタイルを楽しむ。趣味の日本舞踊や三味線、長唄では名取になるほど、古典芸能への造詣も深い。現在は、福島県にある二本松市大山忠作美術館の名誉館長や二本松市の観光大使も務める。
【連載】女優 一色采子の「母のタンス、娘のセンス」