歯の表面がすり減っているならマウスピースの装着も一手段
歯がすり減っているなどで食いしばりを自覚している人は日中には意識して嚙む力を緩めてみましょう。
自分でコントロールできない就寝中の歯ぎしりや食いしばりには、上あごの歯の型取りをして歯科用マウスピース(ナイトガード、スプリントとも呼ぶ)を作製し、睡眠中に使うことで嚙む力の影響を弱めることができます。
なお、補綴物や義歯の固定用の針金などの金属がアレルギーの原因となることがあります。
アレルギーがあると歯肉に金属の色がつき、ひどい場合には手のひらに水疱や膿疱ができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)になります。
いったん治療した歯をアレルギーを発症してから再び治療するのは心身や金銭的な負担があり、金属をはずすなどの治療ができない場合もあるため、「金属アレルギーが気になる人は歯科の治療前にパッチテストを受け、アレルギーの有無を調べておくといいでしょう」と俵木先生。
なお、金属アレルギー対策となる治療用材料としては保険適用の硬質プラスチック、高品質で長持ちする保険適用外のオールセラミックスがあります。
歯科健診を定期的に受けましょう
オーラルケアや咀嚼のしかたは知らないうちに自分流の癖がついています。毎日の習慣なので、自分の方法が普通となってしまうのです。
加齢や食べ物、持病、ストレスなどで口腔の状態はいつも変化しています。歯が痛くなった、嚙みにくくなったという不具合が出たときだけではなく、歯科には定期的に通院して、チェックを受けたいものです。
「当院では治療が終わった後の半年間は1か月に1回、それ以降はそのかたの口腔の状態やケアが自分でうまくできるかなどによって変わりますが、3か月に1回は来院してもらうようにしています」。
定期健診では、虫歯や歯周病のチェック、歯石の除去、ブラッシングの指導などが行われます。保険適用外であるものの、虫歯予防として歯冠にフッ素を塗布するなどの処置もしてもらえます。「フッ素の塗布は特に象牙質が露出した歯冠と歯肉の境目に有効です」。
嚙み合わせをよくする、見た目をきれいにするといった目的で中高年になってから歯列矯正をする人も増えています。
「当院では70代前半から歯列矯正を始めたかたもいます」。
2013年に報告された日本の高齢者約1万6000人の調査で、かかりつけ歯科医がいる人は、そうでない人より6年後の生存率が明らかに高いことが示されています。
信頼できる歯科医と歯科衛生士を見つけて、長いおつきあいを。