かき氷自家製蜜
かき氷がブームになってもう何年たつでしょう。六雁はその走りだったと自負しております。
オープンした18年前より、夏場の冷菓としてかき氷を7〜8種類の蜜と共に提供して参りました。5月くらいから「かき氷はまだ?」とお客さまに催促されるほどの人気です。
当時は、まだ、冷菓といえば和食でもフレンチでもアイスクリーム、シャーベットが全盛でした。そんな中、大人になってから人前ではあまり食べなくなったかき氷を、おじさんたちにも堂々と楽しんでもらおうと思ったのです。かき氷はおいしいだけでなく、思い出話を含め会話を弾ませます。
20年近く、毎年やっているので蜜の種類も今や30種類を超えます。その中から人気の6種類を家庭でも作りやすい方法でご紹介します。
暑い中、かき氷の人気店の前で並ぶのも悪くはありませんが、家族とカシャカシャ削るかき氷も夏のいい思い出になるでしょう。フワッと削るには機械の性能と刃の鋭さ、そして氷の温度がポイントですが、そこは自家製蜜のおいしさで補いましょう。
青梅や桃、すもも、いちじくなどのフルーツを蜜煮にしたときに残ったシロップも、糖度を上げれば、それぞれのフルーツの香りが生きた風味豊かな蜜に変化させることができます。
家庭だからこそ、思い出に残るあなただけのかき氷がきっとできます。今日も野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「かき氷自家製蜜」は、野菜料理をおいしくする7要素中4要素をクリア。
◎旨み 塩分 ◎甘み 油分 ◎食感 ◎香り 刺激
・薄い蜜は氷を溶かしてしまうため、蜜の糖度は上げずに濃度を上げる。
・市販の蜜やジャムに足りないものは風味。市販品には避けて通れない加熱のプロセスがあり、加熱すればするほど香りや風味はとんでしまうため。
「かき氷自家製蜜」
右からマンゴー蜜、ミックスベリー蜜、抹茶蜜、小豆餡、ほうじ茶蜜、生姜蜜、ブルーベリー蜜。【材料(作りやすい分量)】ブルーベリー蜜
・ブルーベリー(冷凍) 130g
・水 130cc
・グラニュー糖 80g
※作り置きができる。冷蔵庫で保存。
【作り方】1.ブルーベリーを鍋に入れ、グラニュー糖をまぶしてしばらくおく。
2.グラニュー糖が溶けたら、水を加えて中火にかける。沸いたら焦げないように火を弱め、10分弱炊く。酸味が足りなかったらレモン汁を加えてもよい。
ミックスベリー蜜
・冷凍ミックスベリー(ラズベリー、ブルーベリー、苺、ブラックベリー) 130g
・水 130cc
・グラニュー糖 80g
※作り置きができる。冷蔵庫で保存。
【作り方】ブルーベリー蜜に同じ。
マンゴー蜜
・マンゴーピュレ(缶詰) 200g
・グラニュー糖 60g
・レモン汁 2個分
・ヘーゼルナッツシロップ 小さじ1
※作り置きができる。冷蔵庫で保存。
【作り方】1.マンゴーピュレにグラニュー糖、レモン汁、ヘーゼルナッツシロップを加えてよく混ぜる。
生姜蜜
・生姜 60g
・水 360cc
・グラニュー糖 400g
・赤唐辛子 (輪切り)1/2本分
・水飴 10g
※作り置きができる。冷蔵庫で保存。
【作り方】1.生姜は新生姜の繊維立った部分でも、古根(ひね)生姜でもよいが、せん切りにする。「
新生姜の甘酢漬け3種」参照
2.鍋に1の生姜と赤唐辛子、グラニュー糖、水を加えて火にかけ、沸いたら極く弱火にする。
3.しばらく炊いて、生姜の風味と辛みが蜜に移ったら、水飴を加え、ジャムくらいの濃度になったら火から下ろしてそのまま冷ます。冷めたら裏ごしする。こして残った生姜は、刻んで
焼きなすアイスクリームなどのトッピングにも使える。
ほうじ茶蜜
・ほうじ茶(香りのよい茶葉) 30g
・水 200cc
・グラニュー糖 400g
・水飴 120g
※香りがとぶので、使う分のみを少量ずつ作る。
【作り方】1.鍋に水を入れグラニュー糖、水飴を加えて火にかける。
2.1が沸いたら、茶葉を入れたボウルに加える。
3.しばらくそのままおいて、香りが出たら裏ごしする。長くおき過ぎると渋みが移るので注意。
抹茶蜜
・製菓用抹茶 15g
・水 90cc
・グラニュー糖 150g
・水飴 45g
※香りがとぶので、使う分のみを少量ずつ作る。
【作り方】1.鍋に水、グラニュー糖、水飴を入れ火にかけすべてを完全に溶かす。
2.ボウルにふるいにかけた抹茶を入れ、1を熱いまま少しずつ加えてダマができないようによく混ぜ合わせる。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。