ゆるんだフェイスライン、不機嫌そうな口角に要注意。マスクの内側で“表情筋を動かさない”生活がたるみを加速させています──皮膚科医 津田攝子先生にお話を伺いました。
皮膚科医 津田攝子先生津田クリニック副院長、皮膚科専門医。2008年に「津田攝子式静脈マッサージ」を開発。化粧品開発歴25年。年齢・肌質を問わず使える「津田コスメ」の開発を行い、数々のベストコスメ賞を受賞。ワンピース22万円/ミカコ ナカムラ(ミカコ ナカムラ 南青山サロン) ピアス188万4000円/ロイヤル・アッシャー(ロイヤル・アッシャー カスタマーサービス)
たるみのもとは顔の筋力低下と皮下に溜まったむくみ
マスクを外したら“押されジワ”がくっきりとマスク生活の中でよく耳にするようになった「マスク老化」という言葉。実際に、マスクによってエイジングが進むのでしょうか。
「学術的な検証はされていないので皮膚科医としての推論になりますが、人と会って話したり笑ったりすることが減ったため、顔の表情筋が使われず、筋力低下の傾向にあるのは事実です。筋肉を動かさないと血流が悪くなるので、動脈から染み出た余分な水分が静脈で回収されず、皮膚組織内に滞留してむくみとなります。皮下に“水の袋”を提げているようなものですから、下垂を助長して、たるみが加速していると思います」と皮膚科医の津田攝子先生。
「感染防止に気を遣うストレスが続いて誰もが疲れていますし、何よりマスクをしていると顔を動かしにくいですよね。マスクの下では不機嫌な表情がくせになっているのかもしれません」。
オンライン上の画面で人と並んだときに気がつく、フェイスラインのゆるみ帰宅してマスクを外したとき、パソコンやスマートフォンの画面で自分の顔を客観的に見たとき、フェイスラインの変化や口角の下がりを自覚して愕然とする“マスクギャップ”。そんな経験をしているかたもきっと少なくないはず。
今回ご登場いただいた南野陽子さんも、「マスク生活でなくても、1、2年の時が経てば加齢は進みますよね(笑)」と語りつつも、マスクの跡や口角の下がりが気になっているそう。
口角が下がって不機嫌そうな顔になっていることに気がついてショック!次回からマスク老化の改善法をご紹介しますが、まず行っておきたいファーストステップは、マスクで隠れていたむくみを流すこと。津田先生が開発した静脈マッサージを南野さんが体験します。(次回記事は9/7公開予定)
「解剖学に則って開発した『津田式静脈マッサージ』の基本は、顔から首にかけての“水はけ”をよくするために、滞留した水分を静脈に流して回収することです。余分な重みがなくなればたるみは改善しますし、毎日続ければ当然予防になります。女性は更年期を迎える50歳前後から血行が悪くなりやすいので、むくみや肩こり、頭痛の症状も現れやすくなります。血行も促され、顔色もすっきり明るくなりますよ」。
撮影/下村一喜〈AGENCE HIRATA〉 イラスト/スギザキメグミ 取材・文/海野由利子
『家庭画報』2021年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。