義理の両親と実母の介護に自身の更年期が重なって
病んでも、つながっていた心──西川ヘレンさん(タレント)
お花はヘレンさんの心の安定剤。「心がとげとげしくなったときも、お花に触れると優しさを取り戻せるような気がしました」。西川ヘレン(にしかわ・へれん)1946年京都府生まれ。1967年に西川きよしさんと結婚し2男1女の母となる。40歳で子宮と卵巣を摘出し、重い更年期症状に苦しみながら多忙な夫を支え、子育て、義父母と実母の多重介護に奔走。その体験を包み隠さずユーモアを交えて語る講演は人気を呼んでいる。涙あり笑いありの講演会。抱え込まないで、とエールを送る
「今日は主人の両親と私の母も天国から来てくれました。ここに一緒にいます」。西川ヘレンさんが介護体験を語る講演会はこんな言葉から始まります。
長男が生まれた直後から3人の親と同居し、最後までお世話をしてきたヘレンさん。順々に、それぞれの持病や認知症が進んでいく中、ご自身の重い更年期障害と忙しいご主人や子どもの世話が重なります。
やがて実の母、義父が亡くなり2016年に義母を見送ると、40代から60代までくぐり続けた長い長いトンネルの出口にやっと辿り着きました。
「親も私自身も何度、救急車のお世話になったかわかりません。精神的に極限状態のときは家出もしたし、食器も割ったし、ものを投げつけて壁に穴も開けました。よう、あんな荒っぽいことをしたなあと思います。でも何なんでしょう......母たちにものすごく腹を立てて外に飛び出したのに、その2人に似合う洋服を見つけると2枚買ってしまうんです」
義父母と実母と濃密につながっていた日々。思い出は数限りなく、少しも色褪せない。恥ずかしい失敗談や下の世話、粗相のことも包み隠さないユーモアたっぷりの講演に、お客さんは笑ったり泣いたり。
その場に“一緒にいる”亡き義父母たちの反応が少し心配ですが、ヘレンさんは「大丈夫。30年間、同居して一緒に年を重ねてきましたから遠慮がないんです。病んでも弱ってもお互いの心はつながっていました」と明るく答えます。
そして、今まさに渦中にいる人に送るのは、「隠さないで、壁を作らないで、抱え込まないで。私自身、決して一人でがんばってきたわけではないんですよ」という温かいエールでした。