理想の俳優像を尋ねると「最終形態は笠智衆さんです」と向井さん。「妻がもういないことを背中だけで語る映画『東京物語』のラストシーン。あれが究極だなと常々思っています」――今回の『狐晴明九尾狩』も楽しみです。またまったく違うタイプの演劇ではありますが(笑)。「そうですね(笑)。一口に演劇といってもいろいろなジャンルがあるので、その都度、使う頭の回路を変えていくようにはしています。『狐晴明九尾狩』は、あやかしや妖術がたくさん出てくる、仕掛け満載の作品。顔芸と声と印を結ぶ所作がポイントになると思うので(笑)、しっかりやりたいです。あとは烏帽子ですね。烏帽子をつけての大立ち回りは、去年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』でも経験したんですが、油断するとぶつけたり、脱げたりするので、気をつけないと」
――来年2月に40歳を迎える向井さん。どんな40代にしたいですか?「来年すぐに大きな作品が控えていて、それも僕にとっては初の試みなんです。40代もそんなふうに、常に新しいものに挑戦していきたいですね。ただそれは、今回の中島かずきさんのように、向井にこんな役をやらせたいと思ってくださる方がいなければ、叶わないこと。一つひとつの仕事に真摯に向き合って、全力でやっていかない限り、次のステージは与えられないと思うので、そうやっていく中で、また新しいものが見えればいいなと思います」
向井 理/Osamu Mukai
俳優
1982年、神奈川県出身。2006年にテレビドラマ『百夜行』で俳優デビュー。以降、テレビドラマ、映画、CMなどで幅広く活躍し、ドキュメンタリー番組のナレーションやナビゲーターも務めている。近年の主な出演作は、テレビドラマ『着飾る恋には理由があって』『華麗なる一族』『10の秘密』、映画『ザ・ファブル』、舞台『青く美しく』など。永山瑛太とW主演を務めるHNK正月時代劇『幕末相棒伝』が、2022年正月に放送予定。
2021年劇団☆新感線41周年興行 秋公演
いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』
2021年9月17日~10月17日/東京・TBS赤坂ACTシアター S席/1万4800円 A席/1万1800円 ヤングチケット/2200円席 お問合せ/サンライズプロモーション東京 電話0570-00-3337
10月27日~11月11日/大阪・オリックス劇場
作/中島かずき 演出/いのうえひでのり
出演/中村倫也、吉岡里帆、
浅利陽介、竜星 涼、早乙女友貴、
千葉哲也、高田聖子、粟根まこと、
向井 理 ほか
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