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蘇りの薬草ともいわれる青じそで、夏野菜をおいしく変身させましょう

2021.08.21

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プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”365 身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を毎日教わります。一覧はこちら>>

夏野菜のしそ包み


夏野菜のしそ包み

青じそは日本料理にとって欠くことのできない香味野菜です。主役になることはありませんが、爽やかな香り、鮮やかな色彩がアクセントとなって、シンプルな料理を味わい深いものにする名脇役として活躍します。

しそには青じその他に梅干しの色づけなどに使う赤じそもあります。ともに生育の各段階で収穫でき、発芽して本葉が1〜2枚の頃の芽じそ、花が開き始めた頃の花穂、花が咲き終わった後の穂じそなど、様々な味わいを楽しむことができます。この連載でも、各段階のしそを使っていきます。


以前、農園でしそを育てていましたが、成長すると多くの葉が茂り、収穫しても次々と新しい葉が生えてきます。ベランダなどで育てておくと大変便利ですね。

蓮飯(はすめし)

そして、このしそという名前ですが、中国後漢末期の伝説的名医「華佗(かだ)」が食中毒の治療に使い、蘇りの薬草として世に広まったことから紫蘇(しそ)となったとも言われています。

確かにその名の由来とおり、しそには食材を蘇らせる、シンプルな料理を味わい深くする効果がある気がします。それでいて主役を食ってしまうようなこともありません。

そんな青じその脇役としての数ある名演技の中から、主役を包み込む好演をご紹介します。今日も野菜料理を楽しみましょう。


ちょっとしたコツ


・「なすの生姜味噌はさみ しそ包み」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激

生姜味噌の量を少なめにする。味噌が多いとわかりやすいおいしさにはなるが、味噌の味が勝ちすぎて他の素材の風味が感じにくくなる。

・「焼きアボカドのしそ醤油漬け包み」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。

◎旨み ◎塩分 甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り 刺激

アボカドが柔らかく適度に熟していること。アボカドが熟れていなければ、どんなに手を加えてもおいしくはならない。熟していない場合はりんごやバナナなどのエチレンガスを発するものと一緒にビニール袋に入れ、常温に置き追熟させる。アボカドは原則、買ってきたままではおいしくないと考えておくとよい。







夏野菜のしそ包み

「なすの生姜味噌はさみ しそ包み(左)」


【材料 (3人分・9個)】
・賀茂なす 1個

・生姜味噌 大さじ1
「生姜味噌」参照

・青じそ 9枚

【作り方】
1.賀茂なすは枝付き部分をガクの下から切り落とし、なすの大きさにもよるが縦に9等分する。

2.1を耐熱皿に広げ、電子レンジ(500W)で3分加熱する。(機種やなすの大きさ、量によって変わる)

3.2のなすをそれぞれ2つにスライスする。2枚1組にして間に生姜味噌を挟んだものを9個作る。

4.9個のなすそれぞれを青じそで包む。青じそが離れるようなら、生姜味噌をごく少量(分量外)しそに塗って接着剤がわりにする。

5.フライパンを火にかけてサラダ油をひき、4のなすを焼く。軽く焦げ目がついたらひっくり返して裏面も焼く。

「焼きアボカドのしそ醤油漬け包み(写真右)」


【材料 4人分】
・アボカド 1個

・青じその醤油漬け 8枚
「本当においしいかゆ、青じその醤油漬け添え」参照

【作り方】
1.アボカドは柔らかく適度に熟したものを用意する。

2アボカドの種に当たるように縦に包丁を入れ、1周して切り込みを入れたらねじって2つに分け、種と皮を除く。各半分をそれぞれ縦4つに切る。

3.フライパンを熱してサラダ油をひき、アボカドを焼く。程よい焦げ目がついたらひっくり返して裏面も焼く。濃いめの味が好みなら、青じそを漬けていた醤油を少量入れて絡める。

4.焼けたらフライパンから取り出し、8切れをそれぞれ青じその醤油漬けで包む。

私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。

六雁(むつかり)

榎園豊治さんプロフィール
銀座並木通りにある日本料理店「六雁」初代料理長であり、この連載の筆者でもある榎園豊治さんは、京都、大阪の料亭・割烹で修業を積み、大津大谷「月心寺」の村瀬明道尼に料理の心を学ぶ。その後、多くの日本料理店で料理長を歴任、平成16年に銀座に「六雁」を立ち上げた。野菜を中心としたコース料理に定評がある。

六雁 むつかり

東京都中央区銀座5-5-19
銀座ポニーグループビル6/7F
電話 03-5568-6266
営業時間 (昼)12時~14時 (夜)17時30分~23時 ※土曜日のみ17時~
(営業時間は変更になることもあります。事前に店舗にご確認ください)
URL:http://www.mutsukari.com

六雁 むつかり 料理長、秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。連載でご紹介する料理を手がけてくださる、現料理長・秋山能久(あきやま・よしひさ)さん。
文/榎園豊治 撮影/大見謝星斗
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