パプリカの南蛮漬け、白和え、アイスクリーム
野菜料理を長年研究し続けてきました。その延長で、時には自宅でも冷蔵庫にある残り野菜を駆使して野菜料理を作ることがあります。
ところが、私の思いに反して子供たちの評価は散々なものです。特に子供が小さかった頃は「お父さんが料理作ると野菜ばっかり入れるし、切り方も大きいし……」と大ブーイングでした。
「
パプリカの昆布押し、味噌漬け」でも取り上げましたが、米津玄師の『パプリカ』は子供たちにも大受けで、皆が楽しく歌って踊っている姿を何度も見ました。
プロというのは負けん気が強いものです。自分もパプリカで皆を喜ばせたい、そんな気持ちがメラメラと(笑)。
今日はキャラ弁並みに遊び心満載の料理を考えてみました。やり過ぎなのは重々承知していますが……。ただし、食べてもおいしいものばかりで、型で抜いた残りもすべて残らず利用しています。昨日に続き“展開料理"というやつです(笑)。
いつか野菜で子供たちを楽しませたい。まだまだ修行は続きます。今日も野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「パプリカの南蛮漬け」は、野菜料理をおいしくする7要素中6要素をクリア。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 香り ◎刺激
・パプリカの皮をむいて揚げると、食感が柔らかくなり過ぎる。皮付きでもパプリカは小さめに切れば皮も気にならない。
・「パプリカの南蛮漬けの白和え」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 香り 刺激
・白和えの彩りとアクセントに。パプリカを加えることで白和えの衣に酸味が加わり、全体の味に奥行きが出る。
・「パプリカの南蛮漬けのアイスクリーム」は、野菜料理をおいしくする7要素中5要素をクリア。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 香り 刺激
・パプリカの酸味とほのかな塩分がアイスクリームの甘みと相まって、冷菓というよりも料理に近い感覚に。
・パプリカをアイスクリームと一緒に凍らせない。パプリカの南蛮漬けは凍ると味がボケてしまう。
「パプリカの南蛮漬け(右)」
【材料(3人分)】・パプリカ(赤、橙、黄、緑) 各1/2個
・土佐酢 250cc
出汁4:薄口醤油1:みりん1:酢1の割合
・赤唐辛子 適量
・揚げ油 適量
【作り方】1.各パプリカは半分に切って、種とわたを除き、それぞれ小さめの抜き型(手持ちのもの)で抜く。大きな型しかない場合は抜いた後、皮部分に軽く包丁目を入れておく。
2.フライパンに揚げ油を入れて160℃くらいに熱し、型抜きした各パプリカを入れてさっと揚げる。次に型抜きした残り部分のパプリカも揚げる。
3.あらかじめ作って冷やしておいた土佐酢を適量取り分け、その中へパプリカを揚げた順に漬けていく。
4.すべて漬け終わったタイミングで土佐酢から各パプリカを引き上げる。
5.残しておいた土佐酢に赤唐辛子と4を入れ、15分以上本漬けしたら南蛮漬けの完成。
「パプリカの南蛮漬けの白和え(上)」
【材料(3人分)】・パプリカ南蛮漬け(型抜きした各残り部分) 計50g
・白和えの衣 大さじ4〜5
「
トマトの白和え」参照
・好みの下調理をした白和え用の具材(
白うりの昆布押し、下煮したこんにゃく、長いものあられ切りなど) 適量
【作り方】1.抜き型で抜いた後の各パプリカの南蛮漬けを約4mm角のあられ切りにする。
2.白和え用の具材を小さめに切る。
3.2と1の半量を混ぜて白和えの衣で和え、上から残りの1を彩りに飾る。
「パプリカの南蛮漬けのアイスクリーム(左)」
【材料(3人分)】・市販のバニラアイスクリーム 100g
・パプリカ南蛮漬け(型抜きした各残り部分) 計20g
【作り方】1.市販のアイスクリームは少し柔らかくしておく。
2.パプリカの南蛮漬けを約4mm角のあられ切りにする。切ったパプリカをクッキングペーパーなどの上に広げて軽く水分を除く。
3.アイスクリームに2の2/3を加えて混ぜ、冷凍庫に入れて程よい堅さに急冷する。
4.3が程よい堅さになったら、スプーン2本を使ってアイスを形どって器に盛り、残りの2を上に飾る。
私たちプロの料理人の中には、色や見た目を味より重視する者もいます。薄味信仰?なのか、本当は少し濃いめの味にしたほうがおいしいものでも、それは恥と、濃いめの味つけを避けます。また、味を素材にしっかりと含ませることがプロの料理と、無理に味をつけなくてもおいしい素材に味をつけて台無しにしてしまうこともよくあります。何より、皆さまがおいしいと思う味にしてください。人の味の好みは様々です。ご自身・ご家族の好み、体調に合わせた味に調整しましょう。レシピに示す調味料などの分量は一例に過ぎません。注目していただきたいのは素材の組み合わせと料理手順、どんな調味料を使うのかということです。味の加減は是非お好みで。