アルテマイスター「会津産漆再生物語(プロジェクト)」
国産漆よみがえれ~自然の恵みを活かすものづくり
早朝、車で会津若松の黒森へ。山林を進み、途中で車を降りて緩やかな山道を歩くこと数分。陽光が差し込む明るい森の中に、数十本もの漆の木々が伸びやかな樹形を見せていました。
「これらの漆は、昭和48年、祖父が地区の人々とともに始めた『漆10万本植樹計画』によって育まれたものです」と話すのは、「アルテマイスター」の保志康徳さん(下写真)。
未来を見据えて 植樹活動を新たに展開
漆の採取後、漆の木は伐採するが、根元から新芽が出て持続可能な取り組みとなっている。それに加え、2年前からは地域の遊休農地を借り、森から移植した漆の苗木を育てている。「今植わっているのは2反で約80本。平地でも下草刈りなどは必須です」と保志さん。「かつて会津は漆の産地でしたが、時代とともに衰退していきました。その漆を再生し、地域の活性化につなげたいという祖父の夢を引き継ぎ、苗木の植樹や既存樹の手入れを続けてきたのです」。地道な取り組みの結果、今年、会津で育まれた国産漆は同社のデザイン仏壇「白虹A型」に使用されるまでになりました(
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「漆には木ごとに、また採取年ごとに個性があり、それが製品の味わいにつながります。これからも植樹、育成、採取というサイクルを守り、自然の恵みを活かしたものづくりを通して、祈りの文化を伝えていければ」と保志さん。
本来、人間は自然の一部。そして祈りとは、自然への感謝や畏敬の念から生まれるものです。環境に配慮した同社の持続可能な取り組みは、私たちの日常に自然とともにある豊かさをもたらしてくれるに違いありません。
▼国産漆の枯渇を懸念し先々代が植えた10万本の漆の木。
樹齢40年の、生漆を採取▼
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アルテマイスター×家庭画報 コラボレーション企画
先の見えない困難な時代が続く中、明るく、前向きに、元気に生きていきたいという願いを込め、創業120年を誇る仏壇・仏具・位牌の老舗メーカー・アルテマイスターと家庭画報とのコラボレーション企画として、「手のひらのおまもり」七福神を作りました。
ギャラリー厨子屋 byアルテマイスター(東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビル地下1階)で販売中。
詳しくはこちら>> 表示価格はすべて税込みです。 撮影/本誌・西山 航、スタイリング/横瀬多美保、取材・文/冨部志保子
『家庭画報』2021年10月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。