――昼夜で二役を演じる日もあります。切り替えが大変ではないですか?「昼公演と夜公演の間に、1回シャワーを浴びてメイクをし直すことになるので、慌ただしくはあるんですが、役が入ってしまえば、切り替え自体は難しくはないです。大変なのは稽古中ですね。役が固まっていないうちは、ふわふわとどっちつかずになってしまって。でも楽しいですよ、こっちの役から見える景色はこうなんだなというふうに、1つの作品を2つの方向から味わえるというのは。ただ、僕は毎回出演することになるので、客席から1度も『ジャック・ザ・リッパー』を観ることができないんです。それが唯一残念ですね」
――それぞれの役の現時点での印象は?「アンダーソンは難しい役ですね。お客さんを劇世界に引き込んで、物語を引っ張っていきながら、彼自身が抱えている問題もちゃんと提示していかなきゃいけないので。ジャックのほうは、韓国で観たキム・ボムレさんのジャックの印象が強いです。地の底から湧き出たような重低音ボイスが魅力的で、急にロックライブが始まったかと思ったくらい、歌もアゲアゲなロックアレンジでカッコよくて。みんなが暗い世界で迷いながら暮らしている中、ジャックだけが浮き出ていて、彼が生き生きするほど周りの闇が見えてくる……その対比が面白い。アンダーソンでは繊細な部分までしっかり表現して、ジャックではぶっ飛んだ加藤和樹をお見せできたらと思います」
――日本版を演出するのは、加藤さんが“演劇の師”と仰ぐ白井 晃さんです。加藤さんが今回二役演じることに対して、白井さんは何と?「“大変だな”って、人ごとみたいに言われました。演じるのは僕なので、まあ人ごとではあるんですけど(笑)。白井さんを前にすると、僕はやっぱり背筋が伸びるというか、気持ちがピシッとしますね。さすがに昔のように怒鳴られることはないんですが、日々課題ばかりで、昨日も、アンダーソンの人間性とか抱えてるものに関しては、もっともっと作っていく必要があると言われました。でも、それが嬉しいというか、何も言われないと寂しいというか(笑)。欲しがっちゃう自分がいます(笑)」
TwitterやYouTubeチャンネルへの投稿もマメに行っている。「普段応援してくれている人たちとの繋がりの場。なるべく発信していこうと思っています」。