持ち前のポジティブさで、『マタ・ハリ』再演の稽古では、その日休んだアンサンブルの代役を買って出たことも。「僕は初演から出ていて台詞もわかるので、それで稽古が続けられるならと思って。さすがに踊りは無理でしたが(笑)」――俳優としても躍進しています。今年4月には、第46回菊田一夫演劇賞演劇賞を受賞。先頃再演された『マタ・ハリ』での進化&深化したラドゥ役も素晴らしかったです。「ありがとうございます。実感はないんですが、皆さんが喜んでくださることが何より嬉しいです。僕はお芝居に対する苦手意識がずっとあって、若い頃はなかなか積極的になれなかったんです。でも、いろいろな演出家さんや役者さんと仕事をさせていただく中で、“他の人と比べても仕方がない。自分にしかできないことを伸ばしていくほうが正解なんじゃないか。真摯にやっていれば、見てくれている人は必ずいる。”と思うようになって。今回賞をいただいたことで、それは間違っていなかったんだなと思えました。今後も自分にしかできないものを追求していきたいです」
――今後、挑戦したいことを教えてください。「久しぶりに時代物をやりたいな、という思いがあります。年とともに肩回りが硬くなるそうなので、動けるうちに刀を振り回したいなと(笑)。歴史に基づいた時代物のオリジナルミュージカルなんて、いいですよね。海外の作品からも学ぶものがたくさんあるんですが、日本の伝統的な良さを受け継いでいくのも大事なこと。日本ならではのオリジナル作品が、もっと増えていったらいいなと思います」
――加藤さんの立ち回り、ぜひ観たいです。最後に『ジャック・ザ・リッパ-』本番に向けての意気込みをお願いします。「日本版の『ジャック・ザ・リッパ-』、舞台セットも、僕ら役者の力でシーンや時代を変えながら見せていく白井さんの演出ならではのものになっています。韓国版とはまた違った繊細さを感じてもらえるよう、内面をしっかり作り込んで臨みます。ダークで悲しい物語ではあるんですが、根底にある愛や、人間というものの愚かさや切なさや愛しさを感じてもらえたら嬉しいです!」
加藤和樹/Kazuki Kato
歌手、俳優、声優
1984年愛知県出身。2005年のミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年にミニアルバム『Rough Diamond』でCDデビュー。音楽活動の一方、ミュージカルをはじめとする舞台や映像作品に出演。アニメの声優などでも活躍している。11月から15周年記念ライブツアーを開催するほか、12月にはミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』、2022年2月~3月には舞台『冬のライオン』に出演予定。
ミュージカル『ジャック・ザ・リッパ-』
2021年9月9日~29日/東京・日生劇場 S席/1万3500円 A席/9000円 B席/4500円 Yシート/2000円 お問い合わせ/ホリプロチケットセンター 電話03-3490-4949
10月8日~10日/大阪・フェニーチェ堺 大ホール
作曲/Vaso Patejdl 作詞/Eduard Krecmar 脚本/Ivan Hejna 演出/白井 晃
出演/木村達成、小野賢章、加藤和樹、松下優也、堂珍嘉邦、May’n、エリアンナ、田代万里生 ほか
https://horipro-stage.jp/stage/jacktheripper2021/