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鏡リュウジさん×とよた真帆さん対談。歴史から紐解く「パワーストーン」“石と生命、その美しさ、開運や魔除け”など

2021.09.09

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運命が変わるパワーストーンとのつきあい方


とよた 中世では石に生命があると信じられていたと伺いましたが、先ほどお話したように私も石は生き物という感覚が強いです。人間と石は同じ地球の子ども。それも、何十億年も前に生まれ、奇跡のように美しい大先輩だと思うと尊敬の念を抱かずにはいられません。

水石の世界に、「石を育てる」という言葉があるのですが、しつらえる前に、何年も庭に置いて、日に当てたり、水をかけ続けたり、手脂でこすって艶を出すんです。焦ってはだめで、穏やかな時間の流れが、またとても楽しい。

 時間をかけて石との絆を築く。真のスピリチュアルな世界を感じますね。


“石と人間は同じ。心を通わせられる人類の大先輩”(とよた真帆さん)

とよた 石が生き物であることを強く感じる不思議な体験もありました。長年、お気に入りの石(1ページ上部の写真の水石)と一緒に世界中を旅して、撮影しているのですが、ハワイ島のロケの前に一度だけ自宅で行方をくらましたことがあるんです。ふとソファを見ると六角柱の水晶(下の写真)が輝いていたので、代わりに連れて行くことにしました。

「石の力」は、 世界の共通言語(コモンセンス)だ!

ハワイ島マウナケア登山のお供をした水晶。

その番組はマウナケアをトレッキングする番組だったのですが、山頂にある火山の女神ペレの祭壇で、私の水晶と完璧に対をなす形の水晶が祀られているのを見つけたんです。その瞬間、ハワイ島に行く前に2つの水晶が出会って号泣するシーンを夢で見ていたことが甦りました。いつもの旅のパートナーである石が水晶に、役目を譲ったのだと思います。

 石と心を通わせている、とよたさんならではの体験ですね。パワーストーンの原点は、心の通い合いが重要だと思います。クンツの著書にもある石の効能は、昔の風習や伝説をまとめているため、地域や時代で異なり絶対ではありません。また、現代のパワーストーン信仰者の多くは、赤やピンクは恋愛、黒は魔除け……と分類して考えているようですね。あまり文字通りに信じるのも、どうかな。

とよた それに、効能に合った石を持つだけで運気が開けるということはないと思います。自分の目標を叶える石を持つと、それを目にするたびに勇気づけられて努力をするようになるから、運命が好転するんです。

 心理学者のユングは、子どもの頃からひとりの時間を大事にしたようで、折にふれ小さな石を持って自分と向かい合っていたそうです。長じてからも、石を組んで塔を作り、石に護符を刻み、その中で執筆や瞑想を行いました。彼は、自分を取り戻す媒介として石を用いたのです。

とよた だからこそ、自分に合った石を選ぶことが重要です。私にとって石選びは恋愛と一緒。好きな理由は説明できなくても、波動が合う石を選びます。そうやって、吟味した石とコミュニケーションを取りながら、内面に変化が起これば、それは自分にとっての大切なパワーストーンになったといってよいのではないでしょうか。
撮影/大見謝星斗 取材・文/小倉理加 スタイリング/吉田由紀〈crêpe〉 ヘア&メイク/光倉カオル
『家庭画報』2021年9月号掲載。
この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。
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